路線便との比較で見るチャーター便の特徴

チャーター便は、一度に多くの荷物を運ぶ際の効率性や、荷物を安全に運ぶことにすぐれた輸送方法です。この特徴については、一般的な輸送手法として知られている「路線便」の特徴と比較すると理解しやすいでしょう。

まずは路線便のしくみを解説した上で、チャーター便ならではといえる特徴について考えていきます。

＜ 路線便のしくみ：他の荷物と"相乗り"で運ぶ ＞

路線便は、正式名称を特別積み合わせ貨物運送（略して「特積み」）と言い、読んで字のごとく1台のトラックに、複数の出荷人の荷物を載せて運ぶ輸送方法です。別名で「積み合わせ便」や「混載便」とも呼ばれています。

荷物の運び方は、電車やバスを乗り継いで目的地に行くのと近いイメージです。

まず出荷人より集荷された荷物は、運送会社の拠点に運ばれます。出荷人の近くにある拠点のことを発拠点といいます。

ここに届いた荷物は目的地の方面別に仕分けられ、まずは届け先の最寄りの拠点まで運ばれます。この拠点のことを着拠点といます。

着拠点で再び荷物を下ろし、より細かい配達先ごとに再び仕分けが行われ、配達先に届けられます。

路線便の特徴は、荷物の集荷から配達まで、他の荷物と合わせて運ばれることです。たとえば着拠点から配達先まで荷物を運ぶ際も、近隣エリアに配達される他の荷物と同じトラックに積まれるので、時間帯の指定があまり細かくできないことが一般的です。

＜ 路線便のメリット ＞

路線便を使うメリットは、料金が安いことです。

路線便は複数の出荷人の荷物を積むので、トラック1台の値段ではなく、荷物の輸送距離と重量に応じた料金だけがかかります。

荷物の量がトラックを貸し切るほどでもない場合は、路線便のほうがコストを抑えて輸送することができます。

また路線便は定期的に運行しているので、一般的な宅配便と同じように、出荷人側でトラックを手配する必要がありません。

路線便の料金の考え方

路線便における輸送料金の決め方には、「実重量法」と「容積重量法」の2つがあります。実重量法は、荷物の実際の重量で料金を決める方法です。容積重量法は、荷物のサイズ（幅×奥行き×高さ）から重量を換算して、それによって料金を決める方法です。

運送会社では、実重量と容積重量の両方を計測して、重いほうの重量で料金を計算します。

＜ 路線便のデメリット ＞

路線便は、拠点間の移動などで積み替えや仕分けといった工程が発生します。これによって、輸送事故と呼ばれるトラブルの確率がチャーター便と比べると高くなる傾向にあります。

たとえば複数送った荷物の一部が時間差で届く「口割れ」や、一部の荷物の「紛失」がその例です。さらに、積み替え時の人的な事故などで破損が起きる可能性もあります。

もちろんチャーター便でもこうした事故が起きることもありますが、積み替えや仕分けがない分、そのリスクが減ります。

また、積み替えと仕分けは時間を要するので、このあと紹介するチャーター便よりも輸送時間が長くかかってしまいます。

＜ チャーター便のしくみ ＞

チャーター便は「貸切便」とも呼ばれ、トラックには1社または1人の出荷人 の荷物しか載せません。

そして荷物は、出荷場所から配達先にダイレクトに移動します。つまり、拠点を経由しなくてすみます。

路線便を電車やバスの乗り継ぎで目的地に行くのにたとえるならば、チャーター便はタクシーやハイヤーなどに似ています。

＜ チャーター便のメリット ＞

チャーター便のメリットは2つです。

1つ目のメリットは口割れや破損のリスクが路線便と比較して小さいことです。一度荷物をトラックに載せてしまえば、積み替えや仕分けが発生しません。荷物の出し入れがないため、自ずとこうしたリスクが減ります。

2つ目のメリットは配達時間指定です。
チャーター便のトラックは、配達先までどの拠点にも寄らないので、配達時間が短くなります。また、路線便のように近隣の配達場所を回ることがないので、より細かな配達時間指定ができます。

＜ チャーター便のデメリット ＞

チャーター便のデメリットは、メリットで書いた料金です。荷物の量によっては、路線便を使うよりも割高になってしまいます。

これは、チャーター便の料金がトラック1台あたりいくら、という計算の仕方をしており、荷物の量では料金が変わらないからです。

またチャーター便では、輸送需要が集中する時期には、トラックをチャーターできなくなる事態が起こり得ます。チャーター便を使うときは、早めに運送会社と時期や発着スケジュールを打ち合わせしたほうがよいでしょう。

そもそも物流とは？

荷物の輸送は、経済活動のなかでも大きな役割である「物流」という活動の一部です。

物流は、輸送、保管、荷役、包装、流通加工の5つの要素で構成され、経済の土台になっています。消費者が何かを買う経済活動も、建設会社がビルを建てる経済活動も、すべて物流が必要です。

ここで例として、アイスクリームの消費を考えてみましょう。

菓子メーカーが製造して、それを冷凍倉庫に「輸送」して「保管」しますが、そこに「荷役」と「包装」と「流通加工」という仕事が発生します。アイスクリームを冷凍倉庫からコンビニに移動させるにも、輸送、保管、荷役、流通加工が発生します。

流通加工は、あまり聞きなれない言葉かもしれません。アイスクリームを箱詰めしたり、食肉をパッケージングしたりするのが流通加工です。

＜ チャーター便はさまざまな輸送方法の1つ ＞

荷物をA地点からB地点に移動させるのが輸送です。 再びアイスクリームの例を用いると、原材料をアイスクリーム工場に届ける、アイスクリームを工場から冷凍倉庫に届ける、冷凍倉庫からコンビニに届けることは輸送です。
この例から、輸送を繰り返すことで、消費者がより便利になることがわかります。輸送をすることで荷物の価値が高まっていきます。

一方、輸送を繰り返していくと荷物が破損したり紛失したり価値が減ったりするリスクが発生します。たとえば、アイスクリームが輸送途中で溶けてしまったら、商品価値はゼロになってしまいます。
また、輸送は移動する作業が伴うので、コストがかかります。

輸送による荷物の価値が減るリスクやコストを減らすために、さまざまな輸送手法が開発されました。 効率を重視した輸送や、荷物の温度や安全性を優先した輸送、大型の荷物を運ぶ輸送、大量のものを一気に運ぶ輸送、小さな荷物を運ぶ輸送などがあります。
チャーター便は、さまざまな輸送方法の1つです。

チャーター便と路線便の間を取った輸送「JITBOXチャーター便」

路線便とチャーター便には、それぞれメリットとデメリットがあることがわかりました。
両者のメリットを活かしつつ、両者のデメリットを極力抑える輸送方法もあります。

その一つが、JITBOXチャーター便です。

＜ JITBOXチャーター便の特徴 ＞

チャーター便と路線便のいいとこ取りを可能にしたのはJITBOXチャーター便と呼ばれる輸送サービスです。
これにより、細やかなサービスとコストメリットを両立させることを可能にしています。

JITBOXチャーター便では、幅104cm×奥行き104cm×高さ170cm（内寸）の鉄製のパイプでつくられたキャスター付きのボックスで、最大500kgまでの荷物を入れることができます。

集荷時にボックスに荷物を入れたら、その後は仕分け作業をせず集荷時のまま荷物を運べるのが特徴です。

＜ 路線便とチャーター便のメリットを活かす ＞

路線便のメリットは、輸送料金が安いことでした。荷物の量がそれほど多くなければ通常のチャーター便よりも安価に運ぶことができます。

一方のチャーター便のメリットは、口割れや破損のリスクが小さいことです。
JITBOXチャーター便は拠点でのトラックの積み替えが発生するものの、配達先に到着するまでボックス内は誰も触ることがないので、口割れも破損も最小限に抑えることができます。

つまりJITBOXチャーター便は、路線便に近いコストでチャーター便のような輸送が実現できる「第三の輸送方法」だといえます。

また、オプションサービスを利用することによって15分単位の細かな配達時間指定や、精密機器などの輸送に適した安全性の高い梱包も可能です。

まとめ

路線便にもチャーター便にも、メリットとデメリットがあります。

荷物の種類や量などに応じて、路線便とチャーター便を使い分ける際、第三の選択肢としてJITBOX チャーター便を加えることによって、より効率的な物流を実現させることができるでしょう。