精密機器の輸送方法|注意点や特徴を解説
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モノの輸送にはさまざまな方法がありますが、その中でも細心の注意を払わなければいけないのが、精密機器です。
この記事では、精密機器輸送がなぜ注意を払う必要があるのかを、その理由とともに具体的な輸送方法、一般的な荷物の輸送との違いなどについて解説していきます。
精密機器輸送の特徴と方法
そもそも精密機器とは、文字通り細かな部品を組み合わせて作られた機器のことをいいます。最近ではパソコンのように、半導体などの電子部品を含んだものが真っ先に思い浮かびますが、時計や顕微鏡などのように電子部品を含まないものもあります。
< どんな注意が必要なのか >
精密機器は数多くの細かな部品で構成されているため、振動や衝撃といった外から強い力が加わることで、内部に問題が発生する恐れがあります。もちろん、割れ物などのように精密機器以外でも、振動や衝撃が加わりすぎてしまえば破損や劣化などが起きる荷物はあります。これらと同じもしくはそれ以上の注意が必要になるのが精密機器です。
たとえば割れ物を輸送する場合、天地(荷物の上下)を間違えないことや、積み下ろしの際に慎重に扱うことは当然です。加えて、精密機器では輸送中の振動(トラック、船、貨物列車などの揺れ)にも注意を払うことが大切です。
特に気をつけたい例としては、外から見る限りは問題がなくても、実際に機器を使用する際に不具合が起きることや、内部にあったデータが破損するなどのケースです。
こうしたリスクを避けるために、精密機器の輸送では振動・衝撃をできる限り緩和することが重要です。
ハード面での振動・衝撃対策
ハード面ではエアサス車や特殊な梱包資材を使うことで振動・衝撃をやわらげます。
エアサス車とは、トラックで衝撃吸収の役割を果たすサスペンションに、エアサスペンション(エアサス)と呼ばれるパーツを使った車両のことです。
一般的な自動車のサスペンションは、上のモデル図のようにバネ状のパーツを使いますが、エアサスは空気を入れたエアバッグを代わりに使用し、より衝撃吸収性を高めます。
そのほか、荷物の形状に合わせた専用の梱包箱を開発・使用する、木枠梱包や緩衝資材(エアキャップなど)を使用するなど、荷物自体を保護して輸送する場合もあります。
ソフト面での振動・衝撃対策
ソフト面での対応としては、集荷・積み替え・配達など、荷物を移動させる際の人的作業に対するケアをすることが重要です。具体的には精密機器の輸送を得意とする運送会社に委託するほか、重量物であれば人員を増やすことで、移動時の破損リスクを減らします。
< 精密機器の例 >
精密機器にはさまざまな種類がありますが、ここでは一部の例として多くの人がイメージしやすいものを挙げます。
- 一般的な事務用機器:パソコン、ディスプレイ、スマートフォン、コピー機、プリンター、サーバー、ハードディスクなど
- 医療機器:MRI、CT、心電計、ペースメーカーなど
- 光学機器:顕微鏡、望遠鏡、カメラなど
- 電気機器:オーディオ、テレビ、冷蔵庫、カーナビなど
このほかにも、製造業などで用いる作業用ロボットや工作機器、理化学分野などで使われる測定機器などが精密機器に該当します。
< トラックでの精密機器輸送の方法 >
国内で精密機器輸送を行う場合、基本的にはトラックを使用します。
このとき、主な輸送方法は次に紹介する2つです。
エアサス車でのチャーター便
基本的に、エアサス車のトラック1台を貸し切ってしまえば、地面から伝わる振動・衝撃を緩和し、安全に輸送することが可能です。
また、チャーター便であれば他社の荷物と混載されることもなく、集荷から配達先まで荷物が積み下ろしされることもありません。そのため、積み替え時における荷物転倒などの万一のリスクを抑えることができます。
ただし、トラックの容量に対して運ぶ機器の数が少なければ、輸送コストが割高になってしまいます。
路線便
そこで、コストをより抑える方法として、路線便(他社の荷物と積み合わせで運ぶ方法)も利用されています。
路線便を利用する場合は、エアサス車を指定することができず、無梱包(荷物を何も梱包しない状態)だと運べません。そのため、出荷人側での厳重な梱包(木枠梱包など)や、緩衝材が詰められた専用の箱に梱包したうえで輸送します。
また、拠点で荷物の積み替えを行うため、その際に精密機器にダメージを与えてしまう可能性がありますが、運びたい精密機器の量(容積)が少なければチャーター便よりも費用を抑えることができます。
精密機器を輸送する「第三の方法」JITBOXチャーター便
チャーター便、路線便で精密機器を運ぶ場合、それぞれの特徴が異なるので条件に合わせて選ぶ必要があります。輸送コストが許容範囲内であればチャーター便がよいですが、運ぶものによっては路線便のほうが利用しやすいケースもあるでしょう。
これらの一般的な輸送方法に加えて、もう1つの選択肢になるのが、当社が提供している「JITBOXチャーター便」です。
JITBOXチャーター便は、幅104cm×奥行き104cm×高さ170cm(内寸)・最大積載重量500kgのキャスターがついた鉄製ボックスで、部分的にトラック内の専用スペースを確保することができる輸送サービスです。
チャーター便と路線便の良さをかけ合わせているため、輸送の「第三の方法」として精密機器でも数多く利用されています。
< JITBOXチャーター便で安全な精密機器輸送を可能にするオプション >
JITBOXチャーター便では、集荷時と配達時に荷物の積み下ろしを行うものの、ボックスごと移動するため、精密機器とボックスの固定ができていれば木枠での梱包は必要ありません。また、輸送量が少なければチャーター便と比べてコストメリットが出やすいことも特徴です。
そしてJITBOXチャーター便で精密機器輸送を可能にするのが、安全輸送のためのオプションサービスです。
楽ラクJITバンド・楽ラクJITマット
楽ラクJITバンドで精密機器とボックスを固定し、楽ラクJITマットでエアサス車と同様の衝撃吸収性能を発揮します。
※日本産業規格「JIT Z 0200包装貨物・性能試験方法」に準じ、振動試験機を用いて実施(ボックスチャーター(株)調べ)。
2マンオプション
精密機器のボックス積み込み・積み下ろし作業を、作業員2名で行うオプションサービスです。また、ボックスに専用のスロープをつけることができるため、精密機器を持ち上げずに積み込み・積み下ろしすることも可能です。
まとめ
精密機器輸送は通常の荷物の輸送とは違って、外的な破損だけでなく振動などによる内部の破損リスクを抑えることが重要です。
チャーター便であればエアサス車を手配してもらい、安全に輸送することができますが、荷物の量と輸送料金の兼ね合いで、路線便を利用しているケースもあるでしょう。
これらの選択肢の中間的な位置づけとして、JITBOXチャーター便ではトラックの一部分をチャーターして、コストと安全性を両立した精密機器輸送が可能です。
先に紹介した他にも、輸送する機器の大きさや・配達時間指定など、条件に合わせたオプションサービスが多数あるため、ぜひ利用を検討してみてください。