路線便のしくみとメリット・デメリット

卸売・小売業製造業運び方

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トラックで荷物を運送する事業を、正式な名称で「貨物自動車運送事業」といいます。
この記事では、その貨物自動車運送事業のうち、路線便のしくみについて解説します。さらに、路線便におけるメリット・デメリットも紹介します。

路線便のしくみとメリット・デメリット

路線便の定義:複数の出荷人の荷物を運ぶ

トラックで荷物を運ぶ貨物自動車運送事業は、次の通りに分けられています。その中で、路線便は一般貨物自動車運送事業の「特別積合せ貨物運送」に属しています。

路線便の定義:複数の出荷人の荷物を運ぶ

法的にいうと、路線便を含む一般貨物自動車運送事業は、「他人の需要に応じ」「有償で」「自動車(三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く。)を使用して貨物を運送する」事業と定められています。

「他人の需要」とは、自分の荷物を運ぶわけではないという意味であり、なおかつ、特定の出荷人(単一)のために運ぶわけではないという意味です。
なお、単一の出荷人に限り輸送を行う事業を「特定貨物自動車運送事業」といいます。

つまり路線便(特別積合せ貨物運送)は、複数の出荷人の荷物を、有償で運ぶビジネスと言い換えることができます。

また、「三輪以上の軽自動車及び二輪の自動車を除く」と書かれていますが、現代には三輪の自動車はほとんど存在しません。そのため路線便は、軽自動車でもバイクでもない普通の自動車を使った輸送、と理解することができます。

「特別積合せ貨物運送」のそのほかの呼び方

路線便が「特別積合せ貨物運送」であることは前述しましたが、そのほかにも「特積み」や「積み合わせ便」、「混載便」とも呼ばれています。

路線便はリレー方式で運ぶ

路線便のしくみ

路線便はトラックに複数の出荷人の荷物を載せて運送する輸送方法です。そのため、拠点に複数の出荷人の荷物を集めて、1台のトラックに積み込んで輸送する方法が採用されています。

拠点には、出荷人自身が荷物を持ち込むこともできますし、運送事業者に集荷してもらうことも可能です。

複数の出荷人から集めた荷物は、目的地の方面別に仕分けられ、トラックに載せられます。

荷物を載せた路線便のトラックは、届け先最寄り拠点まで向かい、そこに到着したら荷物を下ろします。ここでのポイントは、発拠点を出発したトラックが荷物の最終的な配達先に行くのではなく、あくまで拠点間の輸送だけを担当する点です。

届け先最寄りの拠点に到着したら、もう一度荷物が細かな行き先別に振りわけられて、配達先に届けられます。

しくみの面では、このような「リレー方式の輸送」が路線便の特徴です。

路線便のメリットとデメリット

路線便とチャーター便は、どちらが優れているというわけではなく、お互いに補完し合う関係にあります。

< メリット:料金の安さ >

複数の出荷人とトラックの荷台をシェア(相乗り)して輸送することになりますので、荷物の容積や重量を元に算出した料金だけが発生します。トラック1台を貸し切るほどでもない出荷量の場合は、チャーター便に比べ安価に輸送することができます。

路線便のメリット

  • 小口輸送の場合コストが安い

路線便の料金の考え方

路線便における輸送料金の決め方には、「実重量法」と「容積重量法」の2つがあります。実重量法は、荷物の実際の重量で料金を決める方法です。容積重量法は、荷物のサイズ(幅×奥行き×高さ)から重量を換算して、それによって料金を決める方法です。
運送会社では、実重量と容積重量の両方を計測して、重いほうの重量で料金を計算します。

< デメリット:大口輸送に向いてなく、輸送事故のリスクが増す >

路線便のデメリットは、大量の荷物を運ぶ大口輸送に向いていないことです。トラック1台を満杯にできる量の荷物を運びたい場合は、チャーター便のほうが割安になるでしょう。

そして路線便には、輸送事故のリスクが増すデメリットがあります。

チャーター便は、出荷先からどこかの拠点を経由することなく配達先まで荷物を運びます。対して路線便は、記事の前半で紹介したように、荷物の積み替えを行いながらリレー方式で輸送します。

道中でトラックが交通事故を起こしたり、危険運転で荷物を破損させたりすることも輸送事故に含まれますが、それらより頻繁に起こるのが、「積み替え時のトラブル」です。

路線便は拠点に荷物を集め、それをトラックに積み、目的地の拠点で荷物を下ろし、そこから配達先まで行くトラックにもう一度載せ替えるという作業が発生します。

こうした積み替え作業の中で、同一配達先に複数個出荷した荷物のうち一部がばらばらに届く「口割れ」や、方面別仕分け作業時の誤仕分けによって正規の着拠点と異なる着拠点に到着する「誤着」、また「破損・損傷」が起きる可能性が生まれてしまいます。

路線便のデメリット

  • 大口輸送ならチャーター便のほうが安い
  • チャーター便に比べて輸送事故のリスクが高い

まとめ 荷物の量などに応じて、輸送方法を賢く使いわけることが大切

路線便は、拠点を軸にした輸送方法という特徴があります。また、複数の出荷人の荷物をまとめて載せる「相乗り」の形を採用することで、小口荷物を割安に送りたいというニーズに対応しています。

ただし路線便では積み替え作業が発生するので、チャーター便と比較すると輸送事故のリスクが増します。路線便に適した場合とそうでない場合があるので、輸送の条件に合わせて最適な輸送方法を選択する必要があります。

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