納品の定義と、「納入」や「出荷」との意味の違いを解説

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日ごろ何気なく使われる「納品」という言葉ですが、その意味を正しく理解している人は多くありません。さらに「納入」や「出荷」との違いにまで及ぶと、説明できない方が増えるのではないでしょうか。

そこで今回は納品の定義および、納入や出荷との違いを解説します。納品の意味を改めて確認し、取引先との齟齬を減らしましょう。

納品の定義と、「納入」や「出荷」との意味の違いを解説

納品の定義

納品とは、「商品を納入すること。また、納入した商品を指す」と辞書では記されています。
納品という言葉が多く使われるのは、①企業の取引と②運送業が主です。①と②、それぞれにおける納品の定義を詳しく見ていきましょう。

< ①企業の取引における納品 >

ビジネスで納品という言葉が使われるのは、取引に使われる商品を納める時です。商品は、有形・無形(データファイルなど)を問いません。

ただ売買契約と同時に商品を引き渡す際には、納品という言葉をあまり使わないでしょう。一般的に売買契約の際に納品方法や場所、期日などを取り決め、商品を後日に引き渡すケースで納品という言葉を用います。

納品時には受注側が「納品書」を発行します。納品書とは、商品の内容や数量、料金などが記載された書類です。発注側は、納品書と納品された商品を照らし合わせ、発注通りの商品が納品されたかを確認します。納品に間違いがなければ、発注側が納品書にサインをし、これをもって売買契約が完了します。

なお、納品前の商品に関する責任は、受注側が持ちます。納品後(売買契約完了後)は発注側へと責任が移るため、納品後の商品に不備や損傷があった場合には、原則、発注側の責任となるでしょう。

納品書の作成については、商法において義務化されていません。とはいえ、上記のような責任関係を明確にしてトラブルを避けるためにも、納品書は発行するのが望ましいです。

また、納品書は税法(正しく税金を納めているか)や、会社法(安全な取引をしているか)に則った企業活動をしている証拠にもなります。このことから税法上では7年、会社法上では10年に渡って納品書を保存することが義務化されているため、納品書の管理は徹底する必要があります。

企業取引における具体的な納品作業の流れ

企業取引における納品作業は、以下の手順で進みます。(※受注者視点)

1.納品物の用意...売買契約内容を元に商品を用意する
2.納品...発注者へと商品を納める
3.検収...納品にされた商品に間違いがないかを発注者が確認する
4.契約完了...納品書にサインをもらうなどして契約を完了とする

企業取引における納品作業とはこのように、あくまでB to B、企業間のみで進むのが一般的です。

< ②運送業における納品 >

運送業における納品

運送業においても、依頼を受けた商品を納めることを納品といいます。ただし企業の取引時に使われる納品とは異なる点は、「商品は必ず有形物である」ことです。

また、納品物は運送会社の自社製品でないことも違いです。運送業では、出荷主が用意した商品を受け取り、納品先まで届けることを納品と呼びます。

運送業における具体的な納品作業の流れ

運送業における納品作業は、以下の手順で進みます。

1.集荷...出荷人から商品を受け取る
2.配達・納品...納品先まで商品を届ける
3.検収...無事に商品が届いたことを納品先が確認する
4.配達完了...納品書にサインをもらうなどして契約を完了とする

運送業における納品作業とはこのように、出荷人と受取人の間を取り持つ形で進むのが一般的です。

似た言葉との違い

似た言葉との違い

ここからは、納品という言葉の意味をより深く理解するために、「納入」や「出荷」などとの違いを確認していきましょう。

< 納入との違い >

納入とは、「品物や金銭を納めること」と辞書では記されています。利用例としては、「会費を納入する」「商品を納入する」などが挙げられるでしょう。

一方、納品は金銭を納める時に使用しません。例えば「商品を納品する」と使いますが、「会費を納品する」とは使いません。つまり納品は収める対象が限定的であり、納入は納品よりも広く使用可能です。

< 出荷との違い >

出荷とは、「商品を市場へ出すこと、荷物を積み出すこと」と辞書では記されています。つまり運送業において出荷とは、あくまで商品を送り出しただけであり、納品先はまだ商品を受け取っていない状態です。納品の前段階と考えるとよいでしょう。

また言葉の特性上、データなど瞬間的に納品が可能な無形商品やサービスでは、出荷という言葉はあまり使われません。

< 配達との違い >

配達とは、「配り届けること」と辞書では記されています。

意味合いとしては、納品とほぼ変わりません。しかし納品は、B to Bで使われる傾向にあります。B to Cでは、配達がよく用いられるでしょう。

まとめ

納品とは、「依頼を受けた商品を依頼先まで納入すること。また、納入した商品を指す」言葉です。
他の単語と混同せず納品という言葉を正しく用い、スムーズに取引を進めましょう。

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