ピッキングのコツ|倉庫での作業を効率化し、ミスを減らす方法
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ピッキング作業は、物流関係の業務を持つ企業では必ず必要な作業です。
しかし、その多くは手作業での仕事となり、ミスが頻繁に起きてしまう問題も抱えています。
今回は、倉庫内でのピッキングの効率化を図り、ミスを減らすためのピッキングのコツについて詳しく解説していきます。
ピッキングは重要な作業
ピッキングは、メーカーや卸売業者などが商品を出荷するときの工程の一つで、倉庫内に保管した多くの商品から出荷指示のあったものを集める作業です。
そのため、多くの商品を素早く効率的にピッキングする必要があり、正確に行わないと配送スケジュールに間に合わない等の問題に繋がる可能性があります。また、メーカーの場合は、いくら商品自体が良くても、注文と違う商品や個数を間違えて発送してしまうことでお客様に迷惑をかけてしまいます。
ピッキングは単調な作業ではありますが、速さと正確性の両方が求められる非常に重要な作業なのです。
ピッキング作業の方法
では、具体的にピッキングの作業にはどのような方法があるのでしょうか。
基本的にピッキングは、倉庫内で行われます。扱う商品や品番の数によって、その保管方法や倉庫内のレイアウトが変わってきます。
そのため、商品や企業ごとにピッキングの方法もそれぞれ異なりますが、大きく分けると2つの方法になります。
① 摘み取り方式のピッキング
② 種まき方式(仕分け方法)のピッキング
これら2つのピッキング作業の方法について詳しく解説していきます。
< ① 摘み取り方式のピッキング >
摘み取り式のピッキング作業は、1件の注文ごとに商品をピッキングする方法です。
出荷指示書などに書かれた内容をもとにして、倉庫内から指示書に書いてある商品をその都度集める作業方式となります。
摘み取り式のピッキングは、取り扱う商品数が多く、注文ごとに出荷する商品のバラツキがある場合に多く用いられる方法です。
< ② 種まき方式(仕分け方式)のピッキング >
種まき式のピッキング作業は、複数の注文をまとめてさばくのに適した方法です。
具体的には、先に複数の注文分の商品をまとめてピッキングしてしまい、その後梱包の段階で1つ1つの注文に合わせて仕分けを行います。
種まき式のピッキングは、抱えている在庫の品番数が比較的少ない場合に用いることで、倉庫作業者の移動が少なくなり効率的に作業を行うことができます。
ピッキングを効率化するためのコツ
ピッキング作業は、何よりも速さと正確さが求められる仕事です。
速さと正確さ。この相反するポイントを両立させるためのピッキングのコツを紹介します。
< 速さを上げるためのコツ >
ピッキング作業の速さを上げるためのコツは、3つあります。
➀ 配置を覚える
ピッキングの速さを上げるためのコツ1つ目は「配置を覚える」ということです。
倉庫作業を行うスタッフの目線では、次のようなことを頭に入れることが作業スピードにも大きく影響します。
- 倉庫内全体の配置はどのようになっているのか?
- 商品が保管してある棚の中にどのような商品がどのくらいの量配置されているのか?
また、倉庫を管理・運営する視点では、作業者が迷わずに商品をピッキングできるレイアウトにしておく必要があります。
そのときに重要なのは、覚えやすい配置にすることです。
たとえば棚に番号や記号を振ったり、覚えやすいようにリスト化したりしておくなどの工夫をすることで、作業者が配置を覚えやすく、ピッキング作業の速さを上げることに繋がっていきます。
② ルートを先に考える
ピッキングの速さを上げるためのコツ2つ目は、「ルートを先に考える」ことです。
複数の商品をピッキングしなければならない場合、どのルートで商品をピッキングすると一番移動距離が少ないかを考えることが重要になってきます。
ピッキングの第一工程として、ルートを事前に考えてから作業を開始することで作業スピードに大きな違いが生まれてきます。
企業によっては、指示書の中にルートの指示が書かれている場合もあります。
③ ムラのない作業を心がける
ピッキングの速さを上げるためのコツ3つ目は「ムラのない作業を心がける」ことです。
ピッキング作業はどうしても単調な作業になりやすいですし、商品によっては重さなどで肉体的な負担がかかってくることもあります。
そのため、どうしても自身の体力や集中力によって、ピッキング作業にムラが出てきてしまうことが多くあります。
それを防ぐために、あまり根を詰めずに、常に安定した所要時間で作業するにはどうしたらいいのかを考えながらピッキング作業を行うことが重要です。
< 正確さを上げるためのコツ >
ピッキングの正確さを上げるためのコツも3つ紹介します。
➀ 商品名、品番を必ず確認する
先程紹介したようなピッキングの速さを意識しすぎていると、どうしても商品の確認を疎かにしてしまいがちになります。
そのため、商品名や品番の指差し確認など、しっかりと商品を確認するためのルールを決めておくことが重要になります。
特に、新人スタッフなどで倉庫内の配置を覚え始めたタイミングは、商品の確認ミスなどが起きやすいので注意しましょう。
② 数量を必ず確認する
多くの商品をピッキングする場合、ピッキングを急ぐばかりに目測で数量を見てしまい、問題に発展することもあります。
できる限りすべての商品をピッキングしたあとに、ダブルチェックできるような仕組みにしておくと数量ミスを少なくすることができます。
③ 各社で定められたピッキング作業の手順を守る
基本的にピッキングを行う会社では、ピッキング作業の手順がマニュアル化されていることが多いです。
しかし、作業者が多くなったり、作業者が新人だったりすると、そのマニュアルがきちんと運用されない不具合が生じたりします。
作業マニュアルは、それぞれの倉庫での作業に応じて生み出された、その時点でベストなノウハウだといえます。ベテランや新人、作業者の数に関わらず、徹底してマニュアルを遵守するよう指導することが重要です。
また、作業マニュアルは定期的に改定していくことで、正確性と速さの両立、効率のさらなるアップが期待できます。
< 環境面でピッキングの効率を上げるためのポイント >
ここまではピッキング作業者に対する効率化の話でしたが、ピッキングの効率化は作業者だけではなく、倉庫の環境改善によっても図ることができます。
具体的には、倉庫内の通路の幅を広げたり、棚の配置を見直したりすることです。
管理者が、ピッキング作業のどこがボトルネックになっているかを見極め、それをどう改善することで解決していくかが重要になってきます。
この環境面でのピッキング効率を上げる方法は、費用をかけることで非常に大きな効率化を得られる場合もあります。
たとえば、Amazon社では、「ロボット在庫管理システム」を導入することで、スペースの有効活用と速さ、正確さなどの効率化を達成しています。
具体的には、倉庫内の棚(ロボット)が仕分けスペースまで移動することで、作業者は一切移動せずにピッキング作業ができるような仕組みになっています。
>参考:Amazonが日本の物流センターに初導入した"秘密兵器ロボ"「Amazon Robotics」を見てきた(動画あり)
ここまで莫大な費用をかけることは難しいですが、ピッキング作業者が手作業で行っている工程を自動化するという考えは、効率を考える点では重要です。
すべてを手作業で行っている場合には、ハンディを導入するなど、手作業をできるだけ無くすことができるよう検討してみるとよいでしょう。
まとめ
以上、ピッキング作業のコツについて詳しく解説をしてきました。
ピッキングはどうしても手作業で行うことが多く、取扱商品数が多岐にわたるなど、どうしてもミスが頻発してしまう問題が発生します。
- ピッキングの速さを上げるコツ
- ピッキングの正確性を上げるコツ
今回紹介した上記のコツをしっかりと意識しピッキング作業を行うことで、今までよりもより効率化した作業が行えるようになるでしょう。