マテハンとは|言葉の意味やメリット・注意点、マテハン機器について紹介

専門用語物流倉庫

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皆さんは「マテハン」と聞いて何のことかすぐに答えられますか?マテハンの用語の定義は、実は物流業界の方の中でも少しだけ差があります。この記事ではマテハンという言葉の定義から、その重要性やメリット・注意点の説明、更にマテハン機器も紹介します。

マテハンとは|言葉の意味やメリット・注意点、マテハン機器について紹介

マテハンとは

マテハンとはマテリアルハンドリング(Material Handling)の略称です。マテリアルを直訳すると素材・原料、ハンドリングとは操作・取り扱うことを意味します。 繋げると素材や原料を扱うこと、となりますが、これだけだと意味が分かりませんのでもう少し補足します。

日本マテリアル・ハンドリング協会では以下のように説明しています。

何らかの物を何らかの方法で取り上げたり、移動したり、置いたりすることによって、経済性や生産性及び品質を向上させる手法です。

つまり、モノの移動(≒物流)を工夫し、生産性や品質を向上させる手法がマテハンです。「物流に関する業務を効率化する取り組み」とも言えるでしょう。
物流には輸送・保管・荷役・包装・流通加工など、様々な業務が含まれています。マテハンはどの業務に対しても使える言葉ですが、 物流業界ではとりわけ倉庫に関係する効率化の手法をマテハンと呼ぶことがあります。更に言うと、マテハンの多くが手作業で行っていた業務の自動化であるため、 マテハンを「物流業務を自動化する取り組み」とまで限定することもあるようです。

また、手法やノウハウではなく、効率化に用いられるシステムや機器をマテハンと呼ぶ場合もあります。
生産性向上の取り組みという概念も、具体的なシステムや機器も同じ呼び方だと混乱を招く可能性もあります。 できれば手法のことをマテハンと表し、システムはマテハンシステム、機器はマテハン機器などと表すのが分かりやすいでしょう。

ちなみに......
先に紹介した日本マテリアル・ハンドリング協会では、MH大賞という顕彰制度を設け毎年実施しています。 受賞には完全無人ロボットによる仕分けシステムや、小型の自走式ロボットなどがあり、各企業のマテハンに関する取り組みを知ることができます。
参考:日本MH大賞

何故マテハンが必要なのか

そもそも物流とは、ものを作る製造業にとっても、ものを売る卸・小売業にとってもコストでしかありません。よって物流コストは削減していくことが常に求められます。
加えて近年の2024年問題やECの発達による荷物の小口・多頻度化により、物流業の人手不足は深刻さを増しています。更なる省人化・効率化を目指すためにもマテハン業界はなくてはならない存在なのです。

▼2024年問題についての詳細はこちら
物流業界における2024年問題とは?業界が抱える課題と対策についてわかりやすく解説

マテハンのメリットと注意点

メリット
①省力化によるコスト削減
マテハンにおけるもっとも大きな目的が省力化とコストの削減です。倉庫の環境に適したマテハンシステムやマテハン機器を導入することで作業効率が上がり、 人的コストの削減や荷量の増加に対応することができるようになります。

なお、マテハン機器を導入する際は、中小企業庁が管轄の減税制度や、一般社団法人による補助金制度などもいくつかあるようです。利用できるかどうかは要確認となりますが、一度調べてみると良いかもしれません。

②人的ミスや人災を防ぐことができる
重量物の運搬やスピードが求められるピッキングなど、作業員にとって負担の大きい作業を機械化・自動化することで、作業員のミスや事故を防止することができます。 また働きやすい環境にもなるため、作業員のモチベーションを維持することができ、うっかりミスの抑制にもつながるでしょう。

注意点
メリットだけでなく注意すべき事も念頭に置きましょう。
①投資すべき設備をしっかり検討する
マテハンでコスト削減しよう!と言っても、コストの削減より先に設備の導入費用がかかります。機器やシステムにより価格帯は様々ですが、荷物用の昇降機でも100万円以上します。 倉庫業務全体で省力化を図るには、相応の投資が必要となることは想像できるかと思います。
そのため、作業コストの削減に十分寄与する設備は何かを検討し、効率よい投資を行うことが重要なのです。 繁閑期によって出荷が減少する荷物にマテハン機器を導入しても、投資分を回収するまでに時間がかかってしまいます。 どの作業を省力化すれば十分な費用対効果があるかを事前に計算し、設備導入を実施しましょう。

②導入後のリスクを考える
設備は導入して終わりではありません。マテハン機器が担う作業が多ければ多いほど、不具合が発生し稼働が停止したときの対応が困難になります。 万が一トラブルが発生した際に発生するコストを計算し、リスクを最小限に抑えるため何をすべきか検討する必要があります。

作業別マテハン機器の紹介

マテハンは物流業務全体に関わるため、機器やシステムの種類も多数存在します。ここでは倉庫に関する作業別に、いくつかピックアップして紹介します。

①入庫
倉庫に届いた品物を適切な場所へ納めるため、品物をまとめ、運搬する作業があります。

作業別マテハン機器の紹介

パレタイザ(パレタイジングロボット)
届いた品物を一つずつ運ぶと時間がかかるため、正方形の頑丈な板(パレット)に荷物をまとめて乗せ、パレット単位で運搬します。このパレットに品物を積載する作業を行う機械がパレタイザです。

フォークリフト
倉庫以外でもよく使われるため、聞いたことがある人も多いと思います。パレタイズされた品物を車体の全面にあるツメ(フォーク)で持ち上げ(リフト)運搬する機械です。近年は無人のフォークリフトも開発されています。

②仕分け
種類別に品物を仕分ける作業です。
ソーター
品物をソート(選別)する大型の機械です。コンベヤ上に載せられた品物を自動認識し、行き先に応じて分けます。スライドシュー式が一般的ですがポップアップ式、クロスベルト式、パン式など用途に応じた形式が複数あります。

③保管・ピッキング
倉庫内の保管方法やピッキングにもマテハンが利用されています。
▼ピッキングについて詳しくはこちら
ピッキングのコツ|倉庫での作業を効率化し、ミスを減らす方法

自動倉庫
品物を倉庫内に保管する際、これまでは格納作業に人やリフト用の通路が必要でした。しかし自動倉庫では巨大な棚のレイアウト情報をシステムで管理し、適切な場所への格納や、取り出す際のピッキングを全て自動化できるのです。スペースを有効に使うことができ、保管量を増加にもつながります。

デジタルピッキングシステム
摘み取り式のピッキング(倉庫内を作業員が回り、棚から必要な品物を取っていく方法)で使用されるシステムです。作業者が電子端末を持ち歩き、品物がある場所を探す際、 品物の場所を文字やランプで作業員に知らせます。
聴覚情報を用いて知らせる「ボイスピッキングシステム」もあります。

まとめ

今回はマテハンについて紹介しました。用語の使い方やメリットと注意点を理解しておけば基礎知識としては問題ないかと思います。 興味を持った方は是非、業界の最新の取り組みや設備を是非調べてみてください。