梱包とは-包装との違いや梱包の種類を解説

卸売・小売業物流倉庫

更新日:

フリマアプリやハンドメイド品の通販サイトの普及により、個人から個人へ商品を送る機会は年々増えています。その際、送る品物を「梱包する」必要がありますが、梱包ではなく「包装する」だけではいけないのでしょうか。梱包と包装の意味の違いについて、ぼんやイメージできても説明できる方は少ないかと思います。また、梱包にはどんな種類があるのでしょうか。
この記事では梱包の意味や、梱包の種類、似た言葉との違いを説明します。

梱包とは-包装との違いや梱包の種類を解説

梱包とは

梱包とは荷物を輸送に適した形に包む行為、またはその状態です。輸送包装と呼ばれることもあります。梱包の重要な要素は、輸送するために行うというところなのです。
例えば東京から大阪まで荷物を送りたい場合、自分の手で持っていく人は少ないと思います。おそらく運送会社を利用するでしょう。運送会社は様々な荷物をまとめてトラック等の車両で運びます。そうすると、他の荷物との接触する、車両が振動するなど、荷物に衝撃が加わります。また移動中に雨や埃で汚れる場合もあります。これらの外的なダメージから荷物を守り、品質を維持したまま配達するために梱包が必要なのです。

包装と梱包の違い

日本産業標準調査会が定める包装用語のJIS規格(JISZ0108)によると、包装の意味は以下の通りです。

物品の輸送、保管、取引、使用などに当たってその価値及び状態を維持するための適切な材料、容器、それら物品を収納する作業並びにそれらを施す技術又は施した状態。

先に説明した「梱包」は輸送を目的とするときに使う言葉でした。一方「包装」は、輸送に限らず、倉庫への保管や他の業者との取引、消費者の使用まであらゆる状況に対して使うことができます。包装は梱包よりも広い意味を持っているのです。

なお、包装に含まれる梱包以外の用語に「消費者包装」があります。これは消費者が使用するときの包装を指しており、例えばスーパーに売っている食品のパッケージや、プレゼントのラッピングなどが消費者包装です。一般的には消費者包装のことを「包装」と呼ぶケースが多いと思います。

包装とは

これで梱包と包装の使い分けはばっちりですね。

< 梱包の要素-外装・内装・個装 >

外装・内装・個装の違い

外装や内装と聞くと建物の壁材やインテリアなど、建築関係を連想する方もいるかと思いますが、どれも梱包に関わる用語です。

用語 説明
外装 包装貨物の外部の包装で、物品もしくは包装物品を箱、袋、たる、缶などの容器に入れまたは無容器のまま結束し、記号、荷印などを施した材料、容器、又は施した状態。
内装 包装貨物の内部の包装で、物品に対する水、湿気、熱、衝撃などを考慮した適切な材料、容器、それらの物品に施す技術又は施した状態。
個装 物品個々の包装で、物品の商品価値を高めるため若しくは物品個々を保護するための適切な材料、容器、それら物品に施す技術又は施した状態。商品として表示などの情報伝達の媒体にすることもできる。

出典:JIS規格(JISZ0108)

包装貨物(=輸送する荷物)の外側の包装が「外装」、内側の包装が「内装」です。
外装と内装を合わせたものが「梱包」になります。

< 工業包装と商業包装 >

その他の包装用語も紹介します。

用語 説明
工業包装 物品を中間業者に配送すること、又は保管することを主目的とした包装。
商業包装 商品の一部として又は商品をまとめて取り扱うために、商業取引の各レベルに合わせて施す包装。

工業包装は輸送包装と、商業包装は消費者包装と似ていますが、どちらも業者間で輸送するときに使用する用語です。

梱包の種類

使用する資材や包み方の違いによって種類は様々です。

段ボール梱包
外装で最も使用される資材は段ボールでしょう。サイズが多様で、書籍一冊から大きな機械まで梱包することができます。また近年は「強化ダンボール」も普及しています。段ボールの表面と裏面の間に波状の構造部分を挟むことで木材に近い強度を実現しており、木材などよりも軽量で、梱包作業の負担を軽減できます。

木枠梱包
木材を利用した梱包もBtoB輸送では一般的です。木枠梱包では木の板を格子状に組み、荷物のサイズに合わせた枠を作ります。枠には隙間ができるため、中の荷物は透明なシートなどで別途包装する必要があります。隙間を作らない場合は「木箱」を利用します。

軟包装
フレキシブルパッケージとも言います。名前の通り、紙や布、フィルムなど軟らかい素材を用いた包装です。商品を密閉する必要がある場合はプラスチックフィルムが使用されます。木枠梱包では中の荷物をPEシート(ポリエチレン素材の半透明シート)で包むことがあります。

パレット梱包
パレットと呼ばれる長方形の板の上に荷物を置き、動かないように固定する梱包方法です。荷物にはストレッチフィルム(梱包用のラップ)を何重にも巻き、バンドで固定します。

梱包作業について

梱包は輸送時に必要となるため、荷物の発送元で行われます。メーカーの工場や、卸売業者・倉庫業者の倉庫などが主な作業場所です。その他、引っ越し現場でも梱包作業が発生します。

梱包作業の流れ

① 適切な梱包資材を選択します。
メーカーなどで決まった製品しか梱包しない場合は、その製品に最適な梱包資材を開発することも多いです。倉庫の場合は、依頼主の要望に合わせて多種多様な品物をピッキングし梱包する必要があります。

② 品物のサイズに合った外装(例えば段ボールなど)を選び、品物を収納します。
どんな品物でも外装と間には隙間が生じますので、緩衝材を詰めましょう。エアキャップ(プチプチ)や紙(クラフト紙や新聞紙を丸めたもの)などを使用することが多いです。緩衝材の詰め方については、品物が外装と接触してしまうと外部の衝撃を受けやすくなるため、品物全体をまんべんなく覆うことが大切です。

③ 品物に汚濡損や破損がないかを確認しましょう。
通常であれば梱包前に検品作業が完了していますが、梱包時に最終チェックを行うことで、予期せぬ不良を防ぐことができます。

④ 最後にガムテームなどで封をして作業は終了です。

<倉庫作業の参考記事>
ピッキングのコツ|倉庫での作業を効率化し、ミスを減らす方法
検品とは|検品作業の種類や課題、効率化について解説

まとめ

今回は梱包の意味や種類、似ている用語との違いなどについて解説しました。
まず梱包とは輸送時に品物を安全に運ぶための包装でした。包装は本来、品物を包む技術や状態全体を指しますが、一般的には消費者向けのパッケージやラッピングのことを包装と呼んでいることが分かりました。
更に内装・外装・個装の意味、様々な梱包の種類についても説明し、最後に梱包の仕事とはどんなものかを紹介しました。
意味を混同せず、適切な用語を使うための一助となれば幸いです。

▼企業間輸送で大活躍!JITBOXチャーター便とは?▼