ロケーションの意味

「ロケーション」【location】の由来を調べると、語源は【locus】であり、場所という意味を持ちます。
では、英語と日本語の意味では、どのような違いがあるのでしょうか、比較してみましょう。

参考：【location】の意味

参考：ロケーションの意味

＜ ロケーションの類義語 ＞

「ロケーション」の意味の一つである【場所・位置】という意味を見ると、いくつか似ている単語があることに気づくでしょう。

〈ロケーション　location〉
場所の位置を指し、住所や東西南北、緯度経度など、絶対的な位置、具体的な位置を表現します。

〈プレイス　place〉場所・所・場
プレイスは、土地や漠然としたような場所を表現し、「場所」の表現の違いで区別します。

〈ポジション　position〉位置
ポジションは、上下左右で表現される、あるものに対する相対的な位置を表現します。もしもあなたの向いている方向が変われば、上下左右は変わりますが、緯度経度などは変わらないでしょう。「位置」の表現の違いで区別します。

〈ポイント　point〉地点・点
ポイントは、単純にある点の位置という意味合いが強く、一点を表現します。「地点・点」の表現の違いで区別します。

〈スポット　spot〉（特定の）地点・点・場所
スポットは、プレイスより具体的で、特定される場所を表現します。「場所・地点」の表現の違いで区別します。

それぞれの単語の意味と比較してみると、「ロケーション」という単語には、絶対的な表現で位置を表す、という要素が大きいということが分かりました。

ロケーションが使われているシーン

では、上記のような意味を持つ「ロケーション」はどのような使われ方をしているのでしょうか。

①ロケーション履歴
スマートフォンやアプリを使用されている方は、近年、聞いたり調べたりした事のある一例ではないでしょうか。ロケーション履歴は、Googleマップにある機能の一つで、設定されたアカウントにて自動的に行動履歴（訪問地や行動ルート、滞在時間など）の記録が残され、いつでも確認ができるというものです。ただし、情報取得の観点から、使用するかどうかは個人で慎重に判断する必要があると言えるでしょう。

参考：ロケーション履歴の管理

②ロケーションフォト、ロケーション撮影
この「ロケーション」は、自然の景色や町並みを背景にして屋外で撮影することを指し、テレビや映画などで行われます。また、個人の記念日やイベントの際にスタジオではなく、海や山、街や公園などの屋外で行われる写真撮影は、ロケーションフォトといわれます。きれいな景色を見て、最高のロケーションだね、などと話したこともあるでしょう。

③ビジネスでのロケーション
ビジネスの場面でも「ロケーション」が使われます。IT業界では、特定した位置情報を利用したサービスの事を指します。ユーザーの現在位置を特定して、様々なサービスと連携させることで近年様々なソリューションが生まれています。また、ビジネスロケーションという単語もあります。ビジネスロケーションは、あるロケーション（立地・集客）が最も活かせる形で、ビジネスを展開し、人々が消費活動や購買活動を行う仕組みを展開させることを指します。駅ナカのビジネスなどが、例に挙げられます。

④物流でのロケーション
物流の場面では、物流倉庫や物流センターで「ロケーション」が使われています。先に説明した、絶対的な表現で位置を表す、という要素が大きく関連しており、商品や製品、在庫品の保管場所の事を指します。

物流とロケーション

物流倉庫や物流センター内の商品や製品、在庫品の保管場所・位置の表現、それがまさに「ロケーション」です。
例えば、住所は、郵便番号と、都道府県 ⇒ 市区町村 ⇒ 丁目・字 ⇒ 番地・号 ⇒ 建物名...等で表現され、大きい範囲から徐々に狭い範囲に場所を特定していきます。
また、図書館の本を借りた際、本棚ごとに規則的に並べられていることに気が付くと思います。こちらも本の番号があり、大分類10分類⇒中分類10分類⇒小分類10分類...という表現方法で、毎回同じ場所に格納されるように管理されています。

参考：日本十進分類法10版

同じような考え方で、物流業界のロケーションでは、「ゾーン」、「列（れつ）」、「連（れん）」、「段（だん）」、「間口（まぐち）」、「商品番号」等を用いて表現します。これらを組み合わせて表現した住所をロケーション番号、棚番号等と呼びます。
まずは、ラックが並べられている物流倉庫を例に挙げて、ロケーションの表現方法を見てみましょう。

ある商品番号の付いている商品の間口を、ゾーン ⇒ 列 ⇒ 連 ⇒ 段で表現していることが分かりました。
物流倉庫ごとに決まったルールで、ロケーション番号を設定することにより、住所や図書館の本と同様に、ルールに基づく絶対的な位置が与えられているのです。

＜ ロケーション管理とは ＞

そもそも、どのような経緯で取り組まれてきたのでしょうか。

ロケーション管理は、倉庫の歴史と発展に大きく関わっています。
倉庫自体の歴史は、非常に古く縄文～弥生時代にさかのぼります。当時は、狩猟採集したもの、農耕で収穫した穀物など、自分たちの食料や備品などを保管し始めたことが始まりといわれています。その後、明治時代以降の商流の中で倉庫業がビジネスとして発展していき、自分たち以外の荷物を預かり、保管するようになっていきます。現在の倉庫業は、保管だけではなく、物流の機能を持つ物流センターが登場する等、サプライチェーンの重要な工程の一つと位置づけされ、様々な付加価値を生み出しています。

参考：倉庫って何だろう？

参考：物流センターとは？役割や種類について徹底解説

倉庫業の発展の中で、より多くのお客様の荷物や商品を保管したい、多品目に対応したい、物流の機能を担いたい等、ニーズが多様化していきます。お客様のニーズに対応するため、より効率的に、正確に、安全に荷物や商品を保管し、ピッキング、出荷する必要性が出てきたことで、保管場所を意図的に決め、配置を管理するようになっていきました。

さらに、ロケーションを管理する重要性を考えてみましょう。
保管のみを行う倉庫の場合、配置を管理することで、限りあるスペースを最大限に有効活用できるでしょう。
ある限られた土地に家を建てる場合、平屋よりも2階建ての方が部屋数やスペースが増えるように、ある空間の配置を管理することで、より多くのものを保管することができるようになります。

では、物流の機能を持つ物流センターではどうでしょうか。
物流センターでは、入荷作業、ピッキング、出荷作業などの工程が発生するため、より早さと効率的な作業、正確性が求められるようになります。関連記事のピッキングのコツ、出荷とはでも紹介していますが、この重要な工程の一助になるのが、まさにロケーション管理です。配置を定位置化、覚えやすくすることで、「探す」作業をできる限り減らします。また物流センターでの作業は、特に「熟練者」が必要でしたが、ロケーション管理を行えば、誰でも同じ効率、精度で作業ができる仕組みを作ることができます。

＜ ロケーションの種類 ＞

ここでは、ロケーションの種類を紹介します。

平置き
床や地面に直接置き保管する。荷物や商品のサイズが大きい、重量物、不規則な形で上積みができない等の場合に適している。
入出庫や入れかえ頻度が高いものや、短期的な保管に用いられることが多い。

ラック
棚を用いて保管をする。縦、横、高さを用途に合わせカスタマイズし、規則的に配置することが可能。
また、平置きに比べ、高さを持たせることができるため、三次元の空間でスペースを最大限に活用できる。
倉庫の配置やレイアウトに合わせて組み合わせられる。

フリーロケーション
空いているスペースに保管をしていき、流動的に配置が変わる。
空きを埋めていく形なので、スペースの利用効率が高くなる。しかし、入庫や出庫と同時に配置が変わるため、情報の共有が難しい。
ロット数が大きい、品目が少ないものなど、煩雑な管理が必要ないもので、かつ、保管効率を求められる場合に用いられることが多い。

固定ロケーション
定位置化した形で保管し、決まったものを決まったスペースに保管する。
保管スペースに保管物がない場合は、他のものを置くことがない。
フリーロケーションに比べると、スペースの利用効率は下がるが、先で述べたような、作業の効率化や、正確性の向上が実現できる。
入庫した商品の補充、出庫作業の頻度、などから、似たような商品をまとめる、出庫作業の多いものを作業エリアの近くに配置するなど、ピッキングなどの作業効率も考えられている。

保管するものやスペースによって最適なロケーションの種類を選択し、保管効率と作業効率の両面でバランスをとることが重要だと分かりました。

まとめ

「ロケーション」という単語一つですが、多様な使われ方がされています。
今回紹介した、物流の「ロケーション」は倉庫管理システム（物流センター管理システム）のWMSを用いて、社内、社外のシステムと連携することで、益々効率化が進んでいます。他の物流コラムで、「WMS」や「ピッキング」、「物流センター」等について詳しく解説していますので、あわせてご確認ください。