荷役とは-読み方や意味、荷役作業の内容や機械をシーン別に紹介します
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「フォークリフトでパレットを運搬する」、「荷物の仕分け作業をする」、これらは荷役(にやく)作業と呼ばれています。積み下ろし、運搬、積み付け、取り出し、仕分け、荷揃えなどを行い、輸送や保管などの作業が行える状態にするための工程や、倉庫への入庫や出庫、ピッキングなども荷役に含まれます。荷役は、陸上荷役、湾岸荷役に大きく分類され、ほとんどの場合、荷役機械を用いて作業を行います。今回は、荷役の意味だけでなく、荷役作業の種類、荷役作業のアウトソーシング、荷役機械やマテハンなど幅広く紹介していきます。
荷役の読み方・意味
荷役は「にやく」と読みます。
辞書的な意味を見てみると、
船荷のあげおろしをすること。また、それをする人。
辞書的な意味は船荷となっていますが、物流用語としては、船荷に限定していません。
物品の輸送・保管の際の積みおろし、倉庫へのしわけ入出庫および仕分作業をいう。パレットとフォークリフト、ホイスト、クレーン、コンベヤ、垂直荷役機などの進歩・普及により、荷役における技術革新が進められており、人力に頼らなければならない部分は減少し、また人力では不可能な作業も可能となっている。
また、英語では、【cargo work】【cargo handling】などと表現されます。
荷役の種類は、以下に分類されます。作業場所によって種類が分けられていることが分かります。
種類 | 内容 |
---|---|
陸上荷役(りくじょうにやく) | 陸上で行われる荷役。 運送、製造現場、工場などで荷物の、積み下ろし、運搬、積み付けや仕分けなどを行うこと。鉄道、トラック(貨物自動車)、航空機などによる輸送現場が該当する。 |
湾岸荷役(わんがんにやく) ・沖荷役(おきにやく) ・岸壁沿岸荷役(がんぺきえんがんにやく) |
埠頭や港で行われる荷役。 船舶による海上輸送現場が該当する。船舶からの積み下ろし、運搬などの作業を行い、隣接した倉庫に保管する。また、荷役を行う場所により2つに分けられる。 埠頭外の港内で行われる沖荷役(船内荷役)は海上のコンテナ船上で行われる。一方で、埠頭・岸壁で行われる岸壁沿岸荷役は、船舶を横付けするために突き出た建造物の埠頭や、船舶と陸地をつなぐ岸に沿った岸壁で行われる。 |
荷役作業の種類
荷役で行う作業の総称を荷役作業(にやくさぎょう)と呼びます。輸送や保管などの作業が行える状態にするための付帯作業が多く、様々な作業が荷役作業として分類されます。
具体的に、陸上荷役を例にしてそれぞれの荷役作業を説明します。
No | 作業の種類 | 内容 |
---|---|---|
① | 積卸し・ 積み下ろし |
トラックや鉄道、飛行機などで輸送され、届いた荷物をそれらから下ろす作業のこと。(船舶では、荷物を集めてコンテナを用いて輸送し、コンテナ内に荷物を出す作業をデバンニングと呼びます) |
② | 運搬 | 荷物を運び動かす作業のこと。倉庫での荷物保管、移動、持出など様々な場面で運搬作業が発生します。 |
③ | 積み付け | トラックの荷台やパレットなどのスペース(空間)に荷物を整列し、積み上げる作業のこと。輸送では、荷物の発送時や積み替え時に行い、倉庫での保管では、効率的に運搬、保管するような場面で作業を行います。(船舶では、コンテナ内に荷物を入れる(詰める)作業をバンニング・バン詰めと呼びます) |
④ | 入庫 | 保管場所(物流センターや倉庫)に荷物を入れる作業のこと。 |
⑤ | 格納 | 平置きやラックなどを用いて、予め決められた場所に荷物を保管すること。現在はロケーション管理で効率的に管理されています。 |
⑥ | 取り出し | 保管された場所から荷物を持ち出すこと。 |
⑦ | 仕分け | 荷物をある基準に沿って、分ける作業のこと。荷物の形状、行先などによって分類します。 |
⑧ | ピッキング | 保管場所(物流センターや倉庫)から必要なものを必要な個数集める作業のこと。荷物を出荷するときに発生します。 |
⑨ | 荷揃え | 一か所に荷物を集め、出荷する準備をする作業のこと。仕分けを行った後に、荷揃えを行います。 |
⑩ | 出庫 | 保管場所(物流センターや倉庫)から荷物を出す作業のこと。 |
< 荷役作業安全ガイドラインとは >
主に陸運業での荷役作業について、より安全安心な荷役作業を行い、労働災害を減少させるため、「荷役作業安全ガイドライン」が制定されています。荷役作業の安全確保では、運送業者だけでなく荷主側と共に取り組み、協力することが重要です。労働災害の約70%が荷主先等で発生しています。また、事故内容の70%が、荷台等からの墜落、転落、動作の反動、無理な動作、転倒、フォークリフト等の荷役運搬による機械災害となっています。時には、危険な場面が発生してしまう荷役作業は、安全ルールを守り、正しい作業を行っていくことが重要となります。
参考:厚生労働省 荷役作業安全ガイドラインの解説
荷役作業のアウトソーシング
自社ですべての荷役作業を行っている企業は多くありません。外部の物流会社や、倉庫と契約し輸送や保管を行うことは物流アウトソーシングのひとつと言えます。自社の物流業務を外部の専門業者に外注することを物流アウトソーシングといい、荷役作業に関しても荷役料(にやくりょう)が発生します。
荷役料には、倉庫の入庫料、出庫料、作業料(運搬、仕分け、ピッキングや検品など)などがあります。
費用の算出方法は、①個数単位(1個当たり)の作業料が決まっており、何個作業したかによって料金が決まる形、②時間当たりで料金が決まる形、主に2つの方法があります。
物流と荷役作業
荷役は、大きく見ると物流を構成している要素の一つとなり、大きく6つの要素で構成されています。
物流は、「輸送、保管、荷役、包装、流通加工、輸送情報」から構成されており、荷役は他の要素との関わりが深く付帯作業的な立ち位置となっています。
物流現場にクローズアップし、もう少し詳しく荷役作業を見ていきましょう。
< 荷役機械とは >
輸送・保管する荷物は、大小さまざまな形状をしており、中には人力作業では動かすことができない重量物なども存在しています。その為、荷役作業の多くは、機械を用いて作業を行います。荷役に使用する機械を荷役機械(にやくきかい)と呼びます。
〈クレーン類〉
荷物を吊り上げ、移動させるための機械です。特に重量物を取り扱うことの多い場面で使用されます。
・天井クレーン
建物の天井の柱に沿って設置されており、大型・大容量の荷物のつり上げも可能です。
・ジブクレーン
壁などに比較的簡単に設置できるが、小型の荷物に適しています。
・アンローダ
船舶から、バラの荷物を下ろす専門のクレーンです。
その他、2本の足があり、橋のようになっている橋形クレーン、2本の塔の間にメインロープ(ケーブル)を張り荷物を吊り上げるケーブルクレーンなどがあります。
参考:一般社団法人日本クレーン協会
〈コンベヤ類〉
荷物を自動的に一定のスピードで、一定の方向に移動させる機械です。何かの作業を行いながら荷物を移動させることができるので、仕分けなどの作業で導入されています。
・ベルトコンベヤ
備え付けたモーターでベルトが動き、そのベルトに荷物を載せることで移動させます。ベルト自体が荷物を運ぶため、移動する力は大きくなります。
・ローラコンベヤ
大量のローラーが設置されており、そのひとつひとつのローラーが回転することで荷物を移動させます。移動させる力はそれほど大きくありません。
その他、チェーンコンベヤ、スクリュー羽を回転させるスクリューコンベヤ,エレベータもコンベヤの一種です。
参考:コンベヤの種類
〈運搬車両〉
トラックなどから荷物を積み下ろし、積み付け、運搬を行うことができます。荷物を積む2本のツメ(フォーク)と上げ下ろしさせることができるマストを有している荷役運搬車両をフォークリフトトラックと呼びます。
< マテハンとは >
マテハンは、マテリアルハンドリング【Material Handling】の略称であり、物流の方法や仕組みを考え、生産性や品質を向上させることです。特に物流の中でも倉庫で行われる作業、今回紹介している「荷役」に関連する作業をより効率化させる取り組みと相性がよいと言えます。
今まで運搬できなかったものが動かせるようになるなど、元々人力で行っていた作業が、機械化するだけでも大きな生産性の向上です。先程紹介した荷役機械は、マテハン機器の種類の中のひとつであり、荷物の運搬や仕分けをするためのものが多いですが、他にも様々な作業の生産性を向上させる機器や機械が存在します。
〈パレタイザ(パレタイジングロボット)〉
入庫時に使用する機械です。届いた荷物はパレットにまとめて載せて運搬し、保管効率や作業効率を高めます。パレットに荷物を載せる作業を行う機械です。
〈ソーター〉
荷物の仕分け時に使用する機械です。コンベヤと同時に使用することで、コンベヤ上を流れてきた荷物を自動的に仕分けることができます。現在は高度なセンサーなどが搭載されており、形状や荷物の行先などを読み取ることもでき、より正確で効率的な仕分けを行うことができます。
〈搬送ロボット〉
無人走行するロボットです。AGV(無人搬送車)と呼ばれており、磁気テープや磁気棒を床面に設置し、その磁気を読み取り無人走行します。昨今、物流ロボットの発展は目まぐるしく、AMR(自律走行搬送ロボット)と呼ばれる磁気テープが不要の自律移動を可能とする運搬ロボットも登場しています。
マテハンについてはこちらの記事でも紹介しています。詳しく知りたい方は、ぜひご確認ください。
マテハンとは|言葉の意味やメリット・注意点、マテハン機器について紹介
< シーンごとの荷役 >
最後に具体的にそれぞれのシーンごとの荷役を見てみましょう。
〈輸送現場〉
A地点からB地点まで荷物を運ぶ「輸送現場」では、
① 発送地で荷物を集めて、方面別のトラックに載せて出発する
荷物を集めるために、フォークリフトやコンベヤで荷物を移動させたり(運搬)、方面別に分類するためにソーターや手作業にて仕分けを行います。その後、輸送する荷物を一か所に集める荷揃えを行い、荷物をトラックに積み付けます。
② 輸送ルートの中継地点での荷物の積み替え
輸送ルートによっては、中継地点で積み下ろしや荷揃え、再度積み付けが発生する場合があります。
③ 到着地でトラックから荷物を下ろし、配達エリア別の仕分け作業や、倉庫へ格納するための作業を行う
トラックが到着地に着くと、荷物をトラックから積み下ろします。配達する荷物は、①と同様の作業を行い、配達作業が行える状態にします。倉庫へ格納する場合は、入庫作業を行います。
〈倉庫〉
決められた場所で、荷物の品質を保ちながら、保管し、管理する「倉庫」では、
① 倉庫に届いた荷物の入庫作業をする
保管場所(物流センターや倉庫)に荷物を入れる際に、検品などを行い、荷物の個数や品質を確認します。
② 保管する荷物を運搬、格納する
フォークリフトやコンベヤで荷物を移動させ(運搬)、決められた場所に格納します。保管中も荷物を運搬することがあります。
③ 出荷指示に伴い、出荷作業をする
荷物の出荷が決まると、保管場所から荷物を取り出し、必要に応じてピッキングや梱包作業を行います。荷物が出荷できる状態になったら、フォークリフトやコンベヤを用いて荷物を集め、輸送できる状態にします。
今回紹介した一例の他にも様々な場面があると思いますが、シーン別に見ていくことで、より荷役作業のイメージがしやすくなると思います。
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