VMIとは-VMI倉庫、物流との関連や在庫管理、メリット・デメリットについて紹介
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通常のものづくりの流れでは、モノ(原材料・部品・製品・商品等)が必要となったタイミングで買い手側(顧客)が発注し、在庫管理を行いますが、VMIでは売り手側(ベンダー)が主導となり在庫管理を行います。
VMIはベンダー主導型在庫管理と表現され、売り手側が買い手側の在庫の売れ行きや生産状況等の流動を把握しながら、在庫が必要そうな(無くなりそうな)タイミングでモノを納品していきます。買い手側は、過剰な在庫を抱える必要や自社で保管倉庫を用意する必要が無くなるため、保管コスト削減を実現することが可能です。今回は在庫管理方法の一つであるVMIについて、意味と内容をわかりやすく説明しながら、VMI倉庫や物流との関わりについて紹介してきます。
VMIとは、意味と内容をわかりやすく説明
ブイエムアイと読み、【Vendor Managed Inventory】のそれぞれの頭文字をとり、VMIと略したものです。
【Vendor】売り歩く人、行商人、売り主
【Managed】〈事業などを〉経営する・管理する
【Inventory】目録、棚卸し表、(詳しい)表、在荷調べ、棚卸し
引用:【Vendor】とは
【Managed】とは
【Inventory】とは
個々の意味は上記となりますが、売り手(ベンダー)が在庫を管理するという意味で、ベンダー主導型在庫管理と表現されます。
通常の在庫管理では、買い手(顧客)が商品の在庫の管理していることが一般的です。つまり状況に応じて、モノ(原材料・部品・製品・商品等)が必要となったタイミングで売り手に発注し、在庫の補充を行うという仕組みです。
この買い手というのは、ベンダーにとっての最終納品者を指し、納品した①商品を販売する人、あるいは②消費者が該当します。「①商品を販売する人」は、スーパーや店舗などの小売業者などがイメージしやすいと思います。「②消費者」に直接モノが納品される例としては、水などの飲料水の定期便や家庭常備薬の補充などがあたります。
在庫管理は、発注や在庫数の把握、納品業務管理というイメージがありますが、実は「適正在庫を保つ」ことが最も重要です。適正在庫を保つために、販売予測や生産管理等の様々な情報を利用して、必要な量だけ、必要な場所に、必要なタイミングで供給できる体制を構築していきます。
また過剰な在庫を抱える事は、企業にとって、管理費、保管費、維持費などの不要なコストにも繋がります。コストの面から見ても、最適な在庫管理は企業にとって重要な管理項目となっています。
従来の在庫管理方法に対し、VMIは、売り手側が主導となり、買い手側の在庫が必要そうな(無くなりそうな)タイミングでモノを納品します。原材料や商品を供給、納品する売り手のことをベンダーといいます。ベンダーが主導でモノを納品するために、常に買い手側の在庫の流動(売れ行き、生産状況)を把握しながら、買い手側と在庫管理の契約を結び、双方で了承した上でVMIを行うことが一般的です。在庫の所有権についても、買い手側に納品されるまでベンダーにある場合がほとんどのため、買い手側は不要な在庫を抱える必要がありません。
自社で保管倉庫を用意する必要が無いため、買い手側にも保管コストについてもコスト削減を行うことが可能です。
< ベンダー、バイヤー、サプライヤーとは >
VMIを紹介する記事は様々ありますが、関係者についての説明が不足しているように思われますので、それぞれを紹介します。
関係者 | 説明 |
---|---|
ベンダー | 売り手業者、消費者やバイヤーに販売する側のこと。 業界によってベンダーの意味合いが異なる場合がある。例えば、製造業では、工場に部品を納品する業者、小売業(食品や日用品)では、コンビニエンスストアやスーパーに商品を納品する業者、となる。 |
バイヤー | 買い手業者、買い付けをする側のこと。商品や製品を調査し、仕入れる。 |
サプライヤー | 製品の部品などを製造して供給する業者のこと。 ベンダーは、消費者に対する売り手だが、サプライヤーはメーカー・企業に対する売り手(供給する側)となる。 |
メーカー | 製品・商品などを製造する企業の総称。 |
VMI倉庫と在庫管理
「VMI倉庫」は、VMIのための専用倉庫のことです。VMIを行うためには、「在庫の保管場所と方法」が重要になってきます。
〈従来の在庫管理方法〉
買い手側主導の在庫管理方法では、ある機械メーカーがあった場合、原材料・部品が必要なタイミングで、それぞれの原材料・部品メーカーに個別に発注をかけます。各メーカーへの発注、納品で多頻度小口配送となるため、業務が煩雑化し、管理項目が増え、コストが増加していきます。一見、自社での在庫量を増やせばよいかと考えがちですが、過剰な在庫は保管費等のコストが増加するため、得策ではありません。
〈VMI〉
ベンダー主導の在庫管理では、それぞれの原材料・部品メーカーから一括でVMI倉庫に納品をします。VMI倉庫では、生産に必要な原材料・部品などを集約し、十分な在庫量を確保します。常時、保管しておくことで、ベンダー側は円滑な出荷作業を行うことが可能になります。機械メーカーの生産状況に応じて必要そうなタイミングでVMI倉庫からメーカーへ納品を行います。多頻度小口配送への対応、自社で在庫を保管する手間等の削減が可能となります。
VMIと物流
VMIを活用していくことは、物流の面でも関連が深く、様々な効果を得ることができます。
〈多頻度小口配送の削減〉
VMIの在庫管理方法では、ラストワンマイルの輸送頻度を削減することが可能です。輸送頻度が増えることで輸送費が増え、全体のコスト増加につながります。物流コストは、輸送費が半分以上の割合を占めているため、可能な限り輸送頻度を減らし、共同配送や一括納品を増やしていくことは、積極的に取り組むべき内容だと言えます。
〈環境負荷の少ない配送方法〉
昨今、物流業界でも二酸化炭素等の温室効果ガス削減は、急務だと言えます。輸送頻度が増えることで、必然と排気ガスの排出量が増加します。都市間を結ぶ幹線輸送は、船や鉄道に輸送モードを切り替えるモーダルシフトが注目されていますが、ラストワンマイルはトラック輸送の利便性が高いため、どうしてもトラック輸送に頼りがちです。輸送頻度を減らすことは、環境負荷を減らすことに繋がりますので、持続可能な輸送を実現する一助になるでしょう。
VMIとジャストインタイムの違い
ジャストインタイム【Just In Time】とは、必要なものを、必要なときに、必要な分だけ供給することを目的とした考え方で、略してJITと呼ばれることがあります。元々は、トヨタの生産方式から他の業界に展開されたと言われています。
VMIとの大きな違いは、「誰が主導で在庫管理を行うのか」という部分です。VMIは売り手側(ベンダー)が主導ですが、JITは、買い手側(顧客)が発注を行い、在庫管理を行います。但し、無駄のない効率的な在庫管理を目指す部分では、非常に似た考え方の在庫管理方法です。
VMIのメリット・デメリット
〈メリット〉
関係者 | 内容 |
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売り手(ベンダー) | ・必要な在庫量が明確となり、生産・納品計画が立てやすい |
買い手(顧客) | ・販売機会の損失や欠品が起こりにくい ・過剰な在庫を抱えなくて済む ・自社で保管用倉庫を保有する必要が無い ・在庫管理業務の軽減 |
売り手側(ベンダー)に業務を委託する形となるため、買い手側の業務負担が軽減することが最大のメリットとなります。
〈デメリット〉
関係者 | 内容 |
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売り手(ベンダー) | ・緻密な契約が必要(下請法など) ・データを分析し、流動を予測する経験値やノウハウが必要 |
買い手(顧客) | ・情報共有のためのシステム導入や環境整備が必要 ・在庫の流動(売れ行き、生産状況)の共有とお互いの信用が必要 ・緻密な契約が必要(下請法など) |
双方の契約や情報を共有するためのIT環境の整備・システム導入等が必要な点がデメリットとなります。
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お客様の声:メーカー倉庫様
荷量が少ないときや突発的な案件、納品時間が厳しいなどのときに、JITBOXチャーター便を利用しています。リードタイムと輸送品質を維持したまま輸送コストが削減できました。
お客様の声:食品製造工場様
製造ラインに影響を及ぼす為、口割れや破損は厳禁でした。また、個々の段ボールに伝票を貼る手間を削減できた点も利用のポイントになりました。