保管とは-意味や類語、保管について幅広く解説!

物流倉庫物流管理

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日常生活でもよく使われる「保管」という言葉ですが、保存、管理など似たような言葉があったり、保管するものによってさまざまな保管の決まりがあったりします。その決まりが存在するため、保管するものは品質が保たれ、そのままの状態を維持することができると言えます。今回は、保管が持つ意味を幅広く説明しながら、特に物流に関する保管について紹介していきます。

保管とは-意味や類語、保管について幅広く解説!

保管の意味

まずは、「保管」の辞書での意味を確認していきましょう。

物品を預かって、傷つけたり失ったりしないように保存・管理すること

引用:保管の意味

商品や荷物などの物品を預かり、品質を保ちながら預かったときのそのままの状態で保存、管理することを保管と言います。では、保管と似たような言葉の保存、管理とはどのような違いがあるのでしょうか。

< 保管と保存、管理の違い >

保存...そのままの状態に保っておくこと。
管理...①ある規準などから外れないよう、全体を統制すること。②事が円滑に運ぶよう、事務を処理し、設備などを保存維持していくこと。③法律上、財産や施設などの現状を維持し、また、その目的にそった範囲内で利用・改良などをはかること。

引用:保存の意味
   管理の意味

辞書の意味を確認すると、「保存」は特に状態を保つということに重きを置き、「管理」は規準を守り、全体を一つにまとめておさめていくという、規準に重きを置いているようです。つまり、保存と管理を同時に行うことが、保管というようなイメージでしょう。

文書や書類の保管

文書や書類の保管

企業で扱われる文書や書類については、①保管方法、②保管期間の主に2つの項目によって「保管」の取り決めがされていることが多く、文書や書類の種類によって、対応方法が変わってきます。
保管期間を終えた文書や書類は、個人情報や機密情報などの重要事項が記載されている場合がほとんどです。シュレッダー処理や機密文書の溶解処理など適切な廃棄方法で情報漏洩を防ぐことが必要です。

①保管方法

文書や書類の保管方法は、2種類あります。

保管方法 説明
紙媒体での保管 会計関連書類などの帳簿書類は、ファイルなどに該当の書類を綴り、種類別に分けて保管します。
電子データでの保管 2022年1月の電子帳簿保存法改正により要件が緩和され、書類の電子化が進んでいます。また近年、環境保護やリモートワーク、データの共有ツールなどが導入され、電子化される書類が増えています。

②保管期間

「法定保存文書」と呼ばれる書類は、会社法などの法律により種類に応じて保管期間が定められています。
いくつかの文書や書類の保管期間を紹介していきます。

保管期間 書類の例
永久保管 文書の性質上、重要度が高いため、永久保存が必要と考えられているもの(法律等による保存年限はない)
【書類】
定款、株主名簿、官公庁への提出書類、知的所有権に関する書類、登記、訴訟関係書類、社規や社則の通達書類、重要な人物に係る書類、従業員の社会保険などの書類など
10年間保管 会社法などの法律で決められているもの
【書類】
株主総会議事録、取締役会議事録、重要会議記録、満期もしくは解約となった契約書、決算書、貸借対照表・損益計算書などの計算書類や附属明細書、総勘定元帳・各種補助簿などの会計帳簿や事業に関する重要書類など
7年保管 法人税法、消費税法、国税法などの法律で決められている、経理や税務に関わるもの
【書類】
仕訳帳・現金出納帳など取引に関する帳簿、決算に関連して作成された書類、領収書・預金通帳・手形控・振込通知書・請求書・契約書・見積書、扶養控除等(異動)申告書、源泉徴収簿など
5年保管 人事・労務関係や廃棄物の処理及び清掃に関する法律で決められているもの
【書類】
従業員の身元保証書、契約書、産業廃棄物管理票など
5年以下(1~4年)保管 人事・労務関係の法律で決められているもの
【書類】
・雇用保険の被保険者に関する書類(4年)
・労働者名簿、雇入れ・解雇・退職に関する書類、災害補償に関する書類、郵便物等の発受信簿(3年)
・健康保険・厚生年金保険に関する書類(2年)など

物流の保管

物流の保管

物流は、輸送、保管、荷役、包装、流通加工、輸送情報の6つの機能を有しています。
また、物流は、モノを作る生産者から、モノを消費する消費者の「モノ」の流れのことで、その中でも保管は特にこの流れの中の「流れるモノの量」と「モノが流れるのにかかる時間」の課題を解決することに役立っています。

物流の保管

ある商品が生産されてから消費されるまでの流れを「川」に例えて、「川上」、「川中」、「川下」と3つの表現を使います。商品の流れは、メーカー(川上)→卸売業(川中)→小売業(川下)→消費者となり、商品はそれぞれが所有する物流センターや倉庫で一時的に保管されます。
商品の発注の依頼や要望が川下の企業から発生し、その内容に基づき、川中、川上の企業は、川下の企業に出荷します。つまり、保管を行うことにより、必要な量を必要なタイミングで出荷できる体制を整え、需要と供給のバランスが保たれています。
また近年は、多頻度小口納品、リードタイムの短縮化など顧客のニーズが多様化しており、より保管の重要性が増しています。
ではさらに細かく、各ステークホルダーが持つ保管の意味・必要性について見ていきましょう。

ステークホルダー 保管の意味
メーカー(川上) 商品を素早く届けるための拠点・商品の量や品質を保つための拠点
比較的、生産拠点と近いところで保管を行い、商品を顧客に届けるための時間を短縮する役割が求められます
卸売業(川中) メーカーと小売業の調整拠点
メーカーは大ロット、小売店は小ロットでの取引を希望しているため、その差を調整する役割が求められます
小売業(川下) 店舗での作業負担を軽減するための拠点
店舗での受け入れ作業を一括で行えるようにすることにより、商品の納品作業の負荷を軽減する役割が求められます

生産から消費の流れの中のそれそれの役割が機能することで、安定した消費活動が行えます。

物流センターと倉庫

続いては、保管が行われる施設である、「物流センター」、「倉庫」について紹介していきます。

< 物流センターとは >

〈物流センターの機能〉

物流センターとは、物流の特に輸送、保管、荷役、流通加工、包装の機能を有する施設で、商品や荷物の入荷から出荷までの一連の業務を担いながら、より効率的に入荷から出荷までの流れを行います。

〈物流センターの業務〉

物流センターでは、商品や荷物の入荷から出荷までの一連の業務を担っています。

物流センターの業務

< 倉庫とは >

〈倉庫の機能〉

倉庫は、商品や荷物を取り置き、保管をするための建物や場所のことです。
倉庫には、所有者が自身の商品や荷物を保管するための「自家用倉庫」と「営業倉庫」があり、特に物流で利用されている倉庫は、事業として保管業務を行っていることが多く、他企業の商品や荷物を保存・収納する「営業倉庫」と呼ばれています。また、それらは、予め国土交通大臣の登録が必要となり、登録して初めて、倉庫業としての営業を行うことができます。

〈営業倉庫の種類〉

営業倉庫の種類

〈物流センターと倉庫の違い〉

物流センターと倉庫は、どちらも商品や荷物を保管する場所というイメージがあるかと思いますが、どの機能に重点を置き作業をしているかによって、それぞれ違った役割を担っています。
物流センターは保管のみならず、入庫、出庫、荷役、流通加工、ピッキング、包装、輸送などの機能を有しています。特に保管したものを出荷する機能が重視されており、必要な量を必要なタイミングで出荷したい、という顧客のニーズに合っています。その為、多品目への対応や、徹底した在庫管理による販売機会損失の防止、大ロットから小ロットまで幅広い荷物量への対応、効率的な作業によるリードタイムの短縮など、いかにスムーズかつ正確に保管している商品や荷物を出荷することができるかということが重要になってきます。
一方で、倉庫は商品、荷物をある期間、品質を保った状態で保管管理する機能が重視されており、それぞれの商品や荷物に合った保管環境が整えられています。

  物流センター 倉庫
顧客のニーズ 必要な量を必要なタイミングで出荷してほしい 商品の性質や特性に合った形で適切に保管してほしい
重視する機能 荷役・流通加工 保管
重視するスペース 仕分スペース(作業スペース) 保管スペース

保管方法とロケーション

物流センターを例に挙げ、具体的にどのような形で保管を行っているのか紹介していきます。

〈基本レイアウト〉

レイアウトの種類には、大きく3種類の形があります。

種類 説明
I字型 商品や荷物の入荷口と出荷口が対になっており、一直線での導線が特徴です。
一連の作業の流れで入荷から出荷まで作業導線を構成することができます。
L字型 商品や荷物の入荷口と出荷口が直角になっています。特徴はI字型と同じです。
U字型 商品や荷物の入荷口と出荷口が同じ側に設置されています。作業場所の活用ができ、効率化が可能です。但し、入荷・出荷が混乱しないように対策が必要です。

物流センターの施設の広さや建物の構造、規模、作業内容などに応じて最適なレイアウトが選択されます。

〈エリア分け〉

トラックバース、入荷エリア、出荷エリア、保管エリア、仕分けエリア、ピッキングエリア、流通加工エリアが設置されています。

〈温度管理〉

物流センターでは、商品や荷物の特性に応じて、大きく3つの温度帯(常温、冷蔵、冷凍)で管理されており、「三温度帯」と呼ばれています。更に取り扱う商品によってさらに細かい温度帯が設定されており、細かい温度管理の元で商品を保管しています。

〈ロケーション管理〉

倉庫や物流センターでは、保管や作業の効率を高めるためにロケーション管理を行います。ロケーション管理とは、施設内のどの保管場所に、どの商品を保管するかを戦略的に配置していく管理方法です。「ゾーン」、「列(れつ)」、「連(れん)」、「段(だん)」、「間口(まぐち)」、「商品番号」等を組み合わせたロケーション番号(棚番号)で、ある商品の保管場所を表現していきます。

ロケーション管理

ロケーション、ロケーション管理についてはこちらの記事で詳しく紹介しています!

ロケーションとは-意味や類義語を解説、ロケーションが使われるシーンや物流のロケーションについて詳しく解説

最後に、ロケーションの種類を紹介していきます。

① 固定ロケーション

固定ロケーションとは、予め商品ごとに保管場所を指定し、固定した場所で決められた商品を管理する方法です。最大のメリットは、商品の保管場所が固定されているため、商品が探しやすく、作業者が覚えやすい、作業を効率的に行えるということです。運用自体が分かりやすいため、長期間の保管を行う場合は非常にメリットを得やすい方法です。一方、デメリットは、保管する商品が無くなっても、保管スペースは確保し続けるという点です。在庫が減った場合は、ムダなスペースが生じてしまうため、保管効率が下がってしまいます。また、商品の種類の変更や保管量の増減が発生した際に、保管レイアウトの変更が必要になる場合もあります。

② フリーロケーション

フリーロケーションは、商品ごとの保管場所を決めずに、変動的な保管を行う方法です。空いているエリアやラックなど、どこにでも保管できます。具体的には、空いているスペースから商品を保管していきます。最大のメリットは、限られた保管スペースを有効活用できるということです。空いている場所に商品を保管することができれば、保管効率が上がり、たくさんの商品を預かることができます。一方でデメリットは、商品の保管場所が不規則に変わっていくので、作業者が覚えにくい、より詳しい情報の共有が必要になるという点です。近年は、IT技術や倉庫管理システム等を用いて、フリーロケーションのデメリットを補っている場合も多いです。

③ ダブルトランザクション

ダブルトランザクションは、作業エリアの分け方の一つです。具体的には、ピッキングエリアと保管エリアを2つに分けて、独立させて作業する方法です。それぞれのエリアを独立させることで、より作業効率を高めることができます。

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