TCとは-トランスファーセンターの意味・役割、DCとの違いや具体例について説明します!

専門用語

更新日:

物流の業務を行う中で、「TC」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。TCには様々な特徴があり、サプライチェーンの一部を担う重要な機能です。今回は、TCの意味・役割、DCとの違いや具体例について説明していきます。

TCとは・意味と役割

TCは「ティーシー」と読みます。トランスファーセンター【Transfer Center】の各単語の頭文字をとった略称です。日本語では、在庫を持たない通過型の物流センターを指します。

【Transfer】 移す、動かす、運ぶ、渡す

引用:【Transfer】の意味

一方で、TCと一緒に使われることの多い、DC「ディーシー」と呼ばれるディストリビューションセンター【Distribution Center】は、在庫を保有する在庫型の物流センターを指します。

【Distribution】分配、流通

引用:【Distribution】の意味

TCとDCはともに物流センターの種類の名称です。では、物流センターの種類をおさらいしてみましょう。

< 物流センターの種類 >

物流センターには、商品を川上から川下に流すための一般的な物流センターの他、商品や作業、顧客の要望に合わせた施設があります。
先にも触れましたが、一般的な物流センターは、機能面から大きく「TCとDC」の2つに分けられます。
一般的な物流センター(TC、DC)、配送センター、デポ、プロセスディストリビューションセンター、フルフィルメントセンター、加工センター、返品センター、リサイクルセンター、保税蔵置場など様々な機能を持つ物流センターが存在しています。 

名称 説明
TC
(トランスファーセンター)
在庫を持たない物流センター。「通過型センター」とも言われます。
各仕入先から納品される商品を一旦ここに入荷し、その日のうちに仕分けして納品します。仕入れ先の納品形態により「店別納品」と「総量納品」に分けられます。
DC
(ディストリビューションセンター)
在庫を持つ物流センター。「在庫型物流センター」とも言われます。
DCのメリットとして、品切れの防止やリードタイムの短縮化を図ることができる、などが挙げられます。一方デメリットは、在庫費用がかかること、物量の増減に柔軟に対応しにくいことなどが課題となります。

※その他の施設については、その他の物流センターで説明します。

物流センターについてはこちらの記事で詳しく紹介しています!

物流センターとは?役割や種類について徹底解説

TCとDCの違い

TCとDCの違いについて、3つ挙げてみます。

〈1.在庫を保有・保管しているか〉

まず、名称からも分かるように「TCは在庫を持たない、DCは在庫を持つ」という点です。TCは、在庫を長期間保管せず、物流センター内を通過させながら、ピッキングや仕分け、荷合わせ等の作業を行うことに重点を置いています。規模が小さい物流センターが多く、地域やエリアごとに点在しています。一方で、在庫を保管するDCは保管業務を伴うため、商品の置き場(ロケーションや保管エリア)が必要になり、比較的規模が大きな物流センターが多くなります。

〈2.リードタイムの長さ〉

通過型のTCは、当日入荷、当日出荷が多く見られます。一方で、在庫型のDCは入荷した商品を一定期間在庫として保管したあとに出荷します。DCでは保管している在庫から出荷するため、リードタイムの調整が可能ではありますが、TCの方が比較的リードタイムは短くなる傾向があります。

〈3.対応できる品目の違い〉

TCでは、基本的には保管を行わないため、長期間保管できない商品の取り扱いが多くなります。一方で、DCでは、保管ができる商品を取り扱うことが可能です。後ほど、冷蔵食品と常温食品を例に挙げて具体的に説明していきます。

TCのメリット・デメリット

〈メリット〉
・DCに比べて物流センターの運営コストが低い
・日々の物量の増減に柔軟に対応できる
・小売店への商品一括納品が可能

〈デメリット〉
・システム構築に費用がかかる
・急な発注に対応できない(DCのように在庫から出荷できない)

TC型(通過型)の物流センターの業務とシステム

冷蔵食品を例に、TCの業務とシステムを説明します。

冷蔵商品のTC型物流センター

(1)商品例

野菜・果物などの青果物、肉・魚などの生鮮品、豆腐やヨーグルトなどの日配品、弁当など

(2)冷蔵食品のサプライチェーン

農家で生産された野菜を例に挙げてみましょう。

① 農協を経由する場合
農協を経由し卸売市場に運ばれる。その後、小売業を経て消費者に届く。

② 生協を経由する場合
農協から生協を通じて消費者に宅配される。

③ その他
農協から小売業に直接運ばれ消費者に届く。
日配品や弁当は、メーカーから卸売業、小売業を経由して、消費者に届く。

冷蔵食品は、鮮度を保つために厳密な温度管理と細やかな物流体系が必要となります。そのため、低温状態で保管や輸送が行われており、この管理によって商品の品質を維持しています。このような流通体系をコールドチェーン(低温流通体系)といいます。

コールドチェーンについてはこちらの記事で詳しく紹介しています!

コールドチェーンとは|用語の意味や重要性、メリット・デメリットを詳しく紹介

(3)業務の特徴

冷蔵食品は賞味期限が短いため、仕分けが中心のTCが基本です。冷蔵食品を取り扱うセンターでは、当日出荷量の7割程度を早朝に出荷しており、残りの3割は、昼前後の商品補充用に当てられます。生鮮食品や日配品は店舗の開店前に商品陳列や販売準備を行う必要があり、毎日の定時納品となります。そのためTCでは、小売業のタイムスケジュールに合わせた形で入荷、流通加工、仕分けの作業がなされています。TCと言っても一時的な仮置きが発生するので、荷捌きスペースや入出荷もトータルで温度管理できる体制が必要です。庫内温度は、商品に合わせて温度管理を行い、運搬中も冷蔵車で運ばれます。

(4)システム管理

TCシステムと呼ばれるシステムで効率的に管理しています。在庫機能はなく、ピッキングや仕分け、荷合わせなどに重点が置かれており、TCはさらに、①TCⅠ型、②TCⅡ型2種類の形態に分かれています。

※Ⅰ型とⅡ型の違い

物流センター内で商品のピッキング、店舗・顧客別の仕分けを行うかどうかが大きな違いです。

①TCⅠ型...事前に内容検品を済ませ、店舗・顧客別の仕分けを完了した状態でTCに持ち込まれます。TCでは、簡易的な個数などの検品を行い、出荷エリアに搬送し、トラックに積み込み輸送します。

②TCⅡ型...商品を総量納品(仕分けを行っていない)に形で納品します。入荷後、検品を行い、商品別にピッキング、店舗・顧客別に仕分けを行い、出荷エリアに搬送し、トラックに積み込み輸送します。

DC型(在庫型)の物流センターの業務とシステム

常温食品を例に、DCの業務とシステムを説明します。

常温食品の物流センター

(1)商品例

缶詰、調味料などの加工食品、菓子、酒類、飲料など

(2)常温食品のサプライチェーン

メーカーで商品が生産されると、メーカーの物流センターに一度保管されます。その後、大手食品卸売業の物流センターを経て、食品スーパーやコンビニなどの小売業に納入されます。

(3)業務の特徴

常温食品は比較的賞味期限が長いため、在庫を保有するDCが基本です。大量品はパレットで、少量品はケース単位で物流センターに入荷されます。その後、数量や賞味期限などを確認・検品し、自動倉庫やパレットラックに格納されていきます。店舗など小売業への出荷は、ケース出荷される商品はフォークリフトやカゴ台車でピッキングを行い店別に仮置きし、バラで出荷される商品は、バラ専用のピッキング棚に保管し、オーダー別にピッキングを行い、オリコン(折り畳みコンテナ)などの通い箱に入れ、店別に仮置きします。
常温食品の品質(製造日や賞味期限など)は、商習慣に合わせて入出荷制限を設けて、鮮度管理を行っています。また、チョコレートやワインなどの商品は温度管理を行っている場合もあります。DCは、TCに比べると、大小さまざまな物流センターが存在しています。中でも、大型の物流センターではマテハン機器が導入され、より効率的な業務を行っています。

(4)システム管理

DCシステムと呼ばれるシステムは、WMS(倉庫管理システム)に組み込まれています。入荷から出荷までの工程を一括で管理しており、非効率的な業務の削減につながっています。

その他の物流センター

・配送センター

決められたエリアにトラックで配送を行っています。

・デポ

配送センターよりも小規模の物流拠点で、頻繁に配送を行いリードタイムを短縮しています。

・プロセスディストリビューションセンター

加工作業を伴う高度な物流センターの総称です。流通加工に特化している施設が多いです。

・フルフィルメントセンター

EC(インターネットでの取引)や、通信販売(電話・郵便での取引、通販、TVショッピング、DM、カタログ販売など)などで、受注した商品が顧客の手元に届くまでの一連の業務を行う施設です。受注・問合せ対応(コールセンター・メールなど)、決済、顧客サポート(アフターフォロー、返品・交換対応など)等の、「決済」や「お客様対応」も含まれています。

・加工センター

商品の加工を行う場所で、多くは工場に隣接しています。また小売業の加工センターでは店舗での作業負担軽減のために生鮮食品(肉や魚、野菜など)の調理、盛り付け、パック詰め、値札付け、仕分けなどを行っています。

・返品センター

川下からの商品返却場所で通販や書籍などのような返品の多い業態に設けられており、商品の再包装などにより、再出荷の準備をします。

・リサイクルセンター

使用済み段ボールやプラスチック、食品廃棄物などを再資源化する場所です。

・保税蔵置場

輸出入において税関に対して申告を行う際に、一旦商品を置いておく場所で、物理的に国内にあっても国外と扱われます。

JITBOXチャーターをぜひご活用ください!

中ロットのお荷物をお取り扱いでしたら、JITBOXチャーター便がおすすめです。
中ロットのお荷物を全国各地にお届けできる輸送サービス「JITBOXチャーター便」は、メーカー・倉庫の発送から、卸売業者・小売店への配達まで、様々なシーンで活躍しています。

JITBOXチャーター便とは?

幅104cm×奥行き104cm×高さ170cm(内寸)の鉄製のキャスター付きボックスに、最大500kgまで荷物を入れて輸送できるサービスです。
集荷時に荷物を入れたあと、輸送中に運送会社がボックスを開けることはありません。配達先まで集荷時のままの状態で荷物を運べるのが特徴です。
車両一台を貸し切るほどではない大きさ・個数の荷物であれば、JITBOXチャーター便を利用することでコスト削減も実現できます。