混載便とは?チャーター便との違いやメリット・デメリット、活用方法などを解説

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近年、ECの利用者が増えたことなどが理由で、物流業界のリソース不足が大きな課題です。そのため、物流事業者は生産性向上に取り組む必要があります。課題解決の方法として、1台のトラックで複数企業の荷物を輸送する、混載便が有効活用されている状況です。本記事では、混載便のメリット・デメリット、活用方法などを解説します。

混載便とは

混載便とは、複数の企業から集めた荷物を1台のトラックやコンテナに積み込んで輸送する物流サービスです。すべての荷物を1台のトラックに積み切れない場合や、少量の荷物を経済的に運びたい企業にとって、混載便は非常に有用な選択肢といえるでしょう。
ここでは、チャーター便の違いと、混載便がおすすめの企業を解説します。

チャーター便との違い


チャーター便とは、企業がトラック1台をまるごと借り切って荷物の輸送を行う方法です。混載便とは異なり、チャーター便は複数の依頼先を回らずに直行して荷物を届けます。そのため、混載便よりも迅速に荷物を届けることが可能です。

また、チャーター便は混載便に比べて費用が高くなる傾向がある一方、大量の荷物を一度に送りたい企業にとっては効率的な手段といえます。

混載便の利用がおすすめの企業


混載便は、少量から中量の荷物でトラック1台を貸し切るほどではない企業に向いています。混載便を利用することで、物流コストを賢く抑えることが可能です。特に荷物が少ない場合や、物流費用を節約したい企業に適しています。

したがって、混載便は物流コストを抑えつつ、効率的な運送を実現したい企業にとって有効な選択肢です。

混載便が注目される背景や社会課題

近年、混載便は物流業界や社会的課題を解決する手段の1つとして注目を集めています。ここでは、混載便が中億される背景や社会課題を確認しておきましょう。

混載便が注目される背景


物流業界には、以下のような課題があり、混載便が有効活用されている状況です。どのような課題があるのか解説します。

ドライバー不足


物流業界では、ドライバー不足が深刻な問題です。働き方改革関連法で定められる時間外労働の上限規制により、物流・運輸業界で起こる問題で、一般的に「2024年問題」と呼ばれています。トラックドライバーの拘束時間や、移動距離の短縮により生じている問題です。

物流コストの上昇


原油価格の高騰などにより、物流コストが上昇しています。混載便は、複数の荷物を1つの輸送機関に積み合わせて輸送することで、輸送コストを削減することが可能です。

EC物流の増加


近年、Amazonや楽天などを中心としたECの拡大にともない、小ロットの荷物が増加傾向です。混載便は、小ロットの荷物でも効率的に運べるため、EC物流の増加に対応する手段として注目されています。

社会課題と混載便


混載便は、以下のような社会課題の解決にも貢献しています。

環境負荷の低減


混載便は、1台のトラックで複数の荷物を運ぶことで、車両の台数、および走行距離、燃料消費を減少し、CO2排出量を削減することが可能です。そのため、環境にも良い影響を与えます。

過疎地域の物流維持

過疎地域では、人口減少により公共交通機関の収益が低下し、物流が維持できなくなるのが課題です。混載便は、公共交通機関の空きスペースを活用して荷物を運ぶことで、過疎地域の物流を維持する手段として利用されています。

混載便を利用するメリット

混載便を活用することで、具体的にどのようなメリットが得られるのでしょうか。以下で、混載便を利用するメリットをご紹介します。

運送コストを削減


混載便の最大のメリットは運送コストの低さです。個別にトラックをチャーターするよりも、複数の荷物をまとめて運ぶため料金が安く抑えられます。

例えば、小~中規模の荷物の場合、4トントラックをチャーターするよりも配送費を5分の1以下に抑えられることもあります。また、混載便では荷物の量に応じて料金が設定されており、小口輸送でも必要最低限の料金で利用することが可能です。

柔軟な輸送の実現


混載便は、複数の荷主からの荷物を1つの積荷空間にまとめて運ぶため、運送会社がスペースを効率的に活用できます。これにより、荷物のサイズや量に応じて柔軟に対応することが可能です。

また、複数の荷物を一度に運ぶため、配送ルートを最適化できるのもメリットです。

混載便のデメリット・注意点

混載便を利用する際には、いくつか注意しなくてはならない点があります。ここでは、混載便を利用するデメリットと注意点を確認しておきましょう。

混載便を利用するデメリット


混載便を利用する際には、以下のようなデメリットがあることを把握しておく必要があります。以下で、具体的な内容を解説します。

配送時間が長くなる可能性


混載便は、1つの輸送手段で複数の荷物を運ぶため、配送ルートが複雑になりがちです。そのため、配送時間が予想よりも長くなる可能性があります。特に、緊急性の高い荷物や時間指定が必要な荷物については、混載便の利用は適していません。

荷物の紛失や破損のリスク


混載便では、荷物が多くの場所を経由するため、荷物の取り扱い回数が増えます。また、それにともない紛失や破損のリスクが高まる点がデメリットです。したがって、貴重品や壊れやすい物品を送る場合は、このリスクを十分に考慮しなければなりません。

特定の荷物に対する対応が困難


温度管理が必要な荷物や、特殊な取り扱いが必要な荷物を混載便で運ぶことは難しい場合がある点もデメリットです。例えば、冷蔵が必要な食品や医薬品、大型の家具や機器などは、混載便での輸送が難しいといわれています。

混載便を利用するときの注意点


混載便はその性質上、以下の注意点を押さえて利用しなくてはなりません。

荷物の梱包


混載便では、他の荷物と一緒に運ばれるため、荷物の梱包は丁寧に行う必要があります。特に、他の荷物に影響を与えないように、液体や粉末の物品は密閉し、壊れやすい物品は十分なクッション材で保護することが重要です。

配送業者の選択


混載便を提供している業者は多いため、信頼性や評判を確認することが大切です。業者の選択は、荷物の安全性や配送速度に大きく影響します。口コミやレビューをチェックすることで、適切な業者を選びやすくなるでしょう。

配送スケジュールの確認


混載便の配送スケジュールは固定されていることが多く、自分の都合に合わせてスケジュールを確認することが必要です。また混載便は一般的に、荷物の受け取りや配送の時間帯は制限されていることがあるため、その点も確認しておかなくてはなりません。

混載輸送を活用した業務効率化

物流業界では、混載便が業務効率化に活用されています。以下で、具体的な取り組み内容をご紹介します。

共同物流による配送効率の向上


輸配送の共同化は、複数の企業が保管、荷役、輸送、配送などの「物流機能」を共同で行う共同物流と同義です。この取り組みには、主体となる企業の組み合わせにより、大きく3つのカテゴリーがあります。

1つ目は、同業種間の共同化です。同じ業種の荷物を集約し、共同で輸配送、保管、受発注などを行うことで効率化を図る方法です。荷物の特性や配送先の特性が類似しているため、条件を整えやすく、従来から多く行われてきました。

2つ目は、サプライチェーン全体の連携による共同化です。メーカー、卸、小売の流通三層が在庫情報、販売情報、輸配送情報を共有し、生産から店頭販売までのプロセスを共同プラットフォームで運営することで、効率化を追求します。

最後の取り組みは、物流ネットワーク資産を活用した共同化です。物流事業者が自社の資産やノウハウを活かして物流サービスを提供し、単独企業よりも安価な物流を実現できます。共同集荷、共同配送センターの運営、納品代行などのサービスがこれに該当します。

輸送ネットワークの集約による効率化


輸送ネットワークの集約による効率化とは、分散している物流拠点を統合し、輸送を一元化する取り組みです。トラックの台数や、走行距離の削減につながります。

大手物流会社では、物流センターを活用して輸送の効率化を図り、CO2排出量の削減やドライバーの運転時間の短縮を目指している状況です。また、トラック予約受付システムの導入により、拠点ごとの作業効率やトラックの回転率が向上し、待機時間の削減とともにCO2排出量の削減も実現されています。

モーダルシフトによる輸送効率の向上


モーダルシフトとは、おもに長距離の貨物輸送をトラックから、環境負荷の低い輸送手段に切り替える取り組みです。鉄道、船舶、航空輸送を利用することで効率化を図れます。CO2排出削減だけでなく、物流業界のドライバー不足への対策としても重要です。

また旅客鉄道やバス、タクシーの空きスペースを利用した貨客混載もモーダルシフトの一環として取り組まれています。

まとめ

混載便とは、複数企業の荷物を1台のトラックやコンテナに積んで輸送する物流サービスです。運送コストの削減や柔軟な輸送を実現する方法として注目を集めています。ただし、混載便には以下のようなデメリットもあるため注意が必要です。

・配送時間が長くなる可能性
・荷物の紛失や破損のリスク
・特定の荷物に対する対応が困難

また、混載便を利用する際には、荷物の梱包や配送業者の選択、配送スケジュールの確認にも留意しなくてはなりません。本記事の内容を参考に、混載便を有効活用してもらえれば何よりです。

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